日本の宝石界のレジェンドによると、宝石を選ぶ際に大事なのは「第一印象」であり「宝石の美しさ」であるという。そして、巷に出回っている0.2カラットより小さいダイヤモンドのソリテール(石を1つだけセットした指輪)に「宝石としての資産性は皆無」だと断言する。宝石選びのポイントを解説する。※本稿は、諏訪恭一『知っている人は得をしている 宝石の価値』(新潮社)の一部を抜粋・編集したものです。
選ぶときに大事なのは
「宝石の美しさ」
実際に宝石店に足を運んで宝石を選ぶ際、どんなポイントに注意すればいいのでしょうか。
肝心なのは「宝石の美しさ」です。価格や鑑別書など、外部からの情報はいっさい無視して、まずは宝石全体を見てください。美しいとか、さほど美しくないとか、見た瞬間、理屈抜きに感じるものがあると思います。その第一印象を大事にしてください。
ダイヤモンドよりアメシストのほうが好き、といった「宝石の好み」があることは否定しませんが、ここで問題にしているのは「美しく感じるかどうか」です。「美しさ」とは「輝き」や「発色」の善し悪しであって、「好き嫌い」ではないので、人によって受け止め方がそう大きくズレることはありません(もちろん、微妙な違いについては、プロの目利きが必要でしょうが)。
宝石に向き合ったら、まず全体的な「美しさの度合い」を判別します。理屈より直感です。この姿勢を大事にしましょう。そうすれば、売り手の“プロパガンダ”や鑑別書などによって、惑わされることもグッと少なくなります。
とはいえ、宝石を見慣れていないと、「直感と言っても、そもそも宝石の美しさが自分にわかるのか……」と不安に思う方もいらっしゃると思います。そういうときに頼りになるのが「構想と仕立て」です。カットの種類や品質の要素といった詳細については、カラー写真の豊富な拙著(『価値がわかる宝石図鑑)第2版 改訂版』ナツメ社等)に譲るとして、ここでは簡単に構想の要点をお話しします。
注意すべきポイントは
「サイズ」と「使い勝手」
宝石を選ぶ際、注意すべきポイントの1つ目は「サイズ」です。
ダイヤモンドの場合、同じ品質(グレード)で同じカットが施されていても、サイズが違えば、輝き方はまるで違ってきます。
たとえば、小粒のダイヤモンドはソリテール(宝石を1つだけセットしたリング)には不向きです。ソリテールに仕立てて最も美しく映えるダイヤモンドのサイズはラウンドの場合、「1.5~2カラット」であると私は思います。ダイヤモンドのソリテールが欲しいのであれば、そのサイズを目安に探すのがいいでしょう。