ただし、カラットが大きいぶん価格も高くなるので、そこはお忘れなく。品質の良いダイヤモンドの価格は、カラット数の2乗に比例して高くなります(1カラットが200万円の場合、2カラットは800万円、3カラットなら1800万円というように)。

 せっかくですので、ここで少しだけカットの話をします。

 ダイヤモンドが最も輝くカットは「ラウンドブリリアント」です(図3)。これは、ダイヤモンドの表面に57の面(ファセット)をつけるカット法です(キュレットを除く)。57面にいろんな角度から光が差し込み、内部で複雑に反射するため、まばゆいほどに輝くのです。

ラウンドブリリアントカット同書より転載

 ただし、0.01カラットのような小粒の場合、面数が多いと、かえって輝くのを邪魔します。小粒の場合、面数が17の「シングルカット」が適しています(図4)。

シングルカット同書より転載

 では、価格は考慮しないものとしてお聞きしますが、3カラット以上ある大粒ラウンドダイヤのソリテールがあったら、皆さんは欲しいと思いますか?

 タダでもらえるのであれば、売って換金することもできるでしょう。ただ、「身に着けてこその宝石」という観点でいえば、私はかなりのお金を払ってまで買おうとは思いません。そこまで大きいと、指にはめたときに石が大きく突出して、品がなくなります。ぶつけたり引っ掛けたりすることも多く、使い勝手もよくありません。一般には、そうした大粒のダイヤモンドは、ティアラやペンダントなど、リング以外の装身具に適しています。

婚約指輪はソリテールよりも
バンドタイプリングがよい?

 もうお気づきかと思いますが、ダイヤモンドはサイズによって「美しさの引き出し方」が異なります。大粒には大粒の良さが、小粒には小粒の良さがあるのです。つまり「適材適所」が大事で、それが実現されていないと、美しさに欠けたり、身に着けづらい宝石の装身具になります。

 もし婚約指輪を買うのであれば、売り手の都合の「0.2~0.3カラットのソリテール」にこだわる必要はありません。同程度のサイズのダイヤモンドを複数並べたバンドタイプリングや、リングの全周にダイヤモンドをセットしたエタニティリングであってもいいのです(下記写真)。

エタニティリング同書より転載