圧倒的に面白い」「共感と刺激の連続」「仕組み化がすごい」と話題の『スタートアップ芸人 ── お笑い芸人からニートになった僕が「仲間力」で年商146億円の会社をつくった話』著者の森武司氏は、2005年の創業以来、18年連続増収増益を達成し、年商146億円となった。ここまで会社を成長させてきた秘密は何か? 本書からより深い学びを得ようと、インタビュー企画を実施。今回は、FIDIAのグループ会社の一つである「イルミルド」から、西澤次長にインタビュー。西澤氏は、イルミルド・西俊彦社長の右腕として、設立当初から在籍しているメンバーの一人だ。そんな西澤氏は『スタートアップ芸人』をどう読み解いたのか。今回は、ECサイトのレビュー(口コミ)対策について聞いた。(ダイヤモンド社書籍編集局)

ネガティブな口コミを削除する簡単すぎる秘策・ベスト1Photo: Adobe Stock

レビュー数と評価の関係は?

――本書『スタートアップ芸人』の「マーケティングではレビューが最強」という項目には、化粧品開発・販売を手がけるイルミルドの事例が登場します。
日々入ってくる購入者による商品レビューは、西澤さんの直下であるCRMチームが管轄されているとか。

実際、現場ではどのようなことをされているのでしょう?
また、レビュー(口コミ)を活用したマーケティングのポイントがあれば教えてください。

西澤:マーケティングを意識すると、商品レビューや口コミの大切さを痛感します。

例えば、当社で最も売れているブランドの一つに「オルナ オーガニック」があります。
このブランドは、シャンプーや化粧品などさまざまな商品から成り、Amazonや楽天で年間1位になるほどの人気商品。

しかし、ネット販売なので、お客様は手に取って商品を試すことができません。
そういう意味でも、ますます「生の声」である商品レビューや、レビュー評価の(星の数の)平均点が重要なのです。

――レビューが購入の後押しになるのですね。

西澤:はい。平均点が高い商品ほどクリック率が高いのは言わずもがな。

さらに、平均点だけではなく、レビュー数自体も重要だということがわかってきました。
実はどれだけSEOで検索上位にきても、平均点・星の数が少ないと、やっぱり売れないわけです。

ですから、クリック率・コンバージョン率を上げるには、とにかく平均点の高さと、レビュー件数の両方が大事。

また、それと同じくらいネガティブレビューを減らすことにも注力しています。
ネガティブレビューを全く出さないというのは難しいですが、減らす努力は惜しみませんし、ついたときに削除してもらえるように動いています。

ネガティブレビューを“削除”する秘策とは?

――とはいえ、ユーザーの商品レビューは出店側が操作できませんよね?

西澤:はい。操作できませんし、削除・修正を要求する行為は禁じられています。
ネガティブレビューに対しては、(ユーザーによるガイドライン違反がない限り)当然ながらしっかりと受け止めます。

その上で、ネガティブレビューの収集・分析を徹底的に行い、販売における弱点を見つけて改善することに全力を注ぐ。
地道ではあるけれども、結局、それが一番ネガティブレビューを減らすことにつながると思っています。

具体的には、こんなエピソードがありました。
冬の時期の話。シャンプーとトリートメントのセットをOPP袋に入れて発送するのですが、袋が破れていたという理由で低評価が頻出。

なぜ、急に破れるようになったのか、不思議に思って調査したところ、寒さでプラスチックが硬くなり、衝撃を受けると縫い目から破れることが発覚しました。

そこで、強度のある袋に変えたところ、低評価が一気に減ったのです。

また、レビューで「箱がつぶれていた」とお叱りを受けた際は、競合会社がどのような梱包をしているのかを調査しました。

――どうやって調査したのですか?

西澤:めちゃくちゃアナログなやり方ですが、実際に購入して調べたんです。
競合会社では、商品の“仕切り”に頑丈な素材を使っていたので、これはうちでも取り入れるしかないなと。

ちなみに、OPP袋の例では、最適な強度の袋を見つけるまでが大変で……気温が何度になれば破れるのか? どの程度の衝撃で破れるのか? 破れない袋はないのか? 等々、延々と実験を繰り返したのは苦い思い出です。

――現場ならではの苦労話ですね。
一方、ネガティブレビューはどうやって削除するのですか?
先述の通り、出店者はレビューを操作できません。

西澤:本書にもありますが、例えば「箱がつぶれていた」「液漏れしていた」等でご迷惑をおかけしたお客様の例です。
新しい商品をお送りすることや、返金することで低評価レビューを削除してくださいました。

また、状況に応じて直筆のお手紙をお送りすることもあり、星1つが星5つに変わったことも。
お客様には、我々が「楽しみにお待ちいただいたのに申し訳ない」という一心で行ったことをご理解いただけたのだと思います。

その他の“削除方法”は、ぜひ本書の「低評価レビューをストレスフリーで減らす方法」と「一夜にしてモンスタークレーマーが大応援団長になる瞬間」をお読みください。当社ならではのエピソードがたくさん載っているのできっと参考になると思います。