高齢者が働くと年金を減らされる
「エイジレス社会」の理念と矛盾
現行の公的年金制度には「在職老齢年金制度」がある。これは、簡単に言えば「公的年金の支給開始年齢である65歳を超えても、働いていると年金をもらえない」という制度だ(注1)。
もう少し詳しく言うと、就労する厚生年金受給者の「賃金(ボーナスを含む)」と「年金(基礎年金受給額を除いた報酬比例部分)」の合計月額が、50万円を超える場合、50万円を超えた金額の半分の年金が支給停止される。
この金額には基礎年金は含まれない(老齢基礎年金は在職していても全額支給)。また、在職老齢年金の支給停止相当分は、繰下げ受給による増額の対象とならない(注2)
だが高齢社会で元気に働く高齢者も増え「エイジレス社会」が掲げられる中で、在職老齢年金は時代とズレてきており、しかも明らかに不合理な制度だ。支給開始年齢になったら、収入のあるなしにかかわらず、無条件で年金を受給できることとすべきだ。
この制度は、長く働く高齢者に対する強いペナルティーとなっている。