再び訪れた「恐怖の時間」で実感したこと
でも、予想外なことが起きました。
1週間後、研修の参加者のひとりから連絡があったのです。
「先日は素晴らしい話をありがとうございました。ところで、私のお客様先でも研修をお願いできませんでしょうか?」
「またあの恐怖を味わうのか……」とおののいたものの、喜んでくれたことが嬉しく、登壇を快諾しました。それは1時間くらいの研修でしたが、終わってあることに気がつきました。
前回の研修よりもうまく話せていたのです。
そして、緊張もそれほどしていませんでした。このとき、僕は「成長できたんだな」と実感できました。
ちゃんとした研修ができていたわけではありませんが、そこから少しずつ「よかったらうちの会社でも話をしてほしい」と、講演やセミナーの依頼が入るようになりました。営業でありながら講師としてのキャリアもスタートしました。
「成長できる機会」は、きっともう訪れている
話す側に回ったことで、参加者のときよりもたくさんの人と出会えて、覚えてもらうこともできました。営業としてのお客様もたくさんご紹介いただけましたし、その後の人生を変える出会いもありました。
すべては10年前、大失敗に終わったあの研修依頼を受けたことがはじまりでした。勇気を出して緊張できる場面に飛び込んで、本当によかったと実感しています。
成長したいと思ったとき、無理に新しいことを探す必要はありません。「成長できる場面」は、きっともう訪れているのだと思います。
「これ、できますか?」
「難しいかもだけど、お願いしてもいいですか?」
こんな相談をされて、断ったことはありませんでしたか?
すべての依頼を引き受ける必要はありませんが、もし断る理由が「やったことがないから」「できるかどうか不安だから」ということであれば、グッと思いとどまり、勇気を出して一歩、足を踏み出してみることをおすすめします。
その挑戦と緊張が、必ず自分を成長させてくれます。
やってみてダメだったら、もうやらなければいいだけです。うまくいかないと学べるだけでも成長ですから。
(本稿は、『記憶に残る人になるートップ営業がやっている本物の信頼を得る12のルール』から一部抜粋した内容です。)
「福島靖事務所」代表
経営・営業コンサルティング、事業開発、講演、セミナー等を請け負う。高校時代は友人が一人もおらず、18歳で逃げ出すように上京。居酒屋店員やバーテンダーなどフリーター生活を経て、24歳でザ・リッツ・カールトン東京に入社。31歳でアメリカン・エキスプレス・インターナショナル・インコーポレイテッドに入社し、法人営業を担当。当初は営業成績最下位だったが、お客様の「記憶に残る」ことを目指したことで1年で紹介数が激増し、社内表彰されるほどの成績となった。その後、全営業の上位5%にあたるシニア・セールス・プロフェッショナルになる。38歳で株式会社OpenSkyに入社。40歳で独立し、個人事務所を設立。『記憶に残る人になる』が初の著書となる。