車高が低いクルマを見かけたとき、「不良が乗っているのかな」「ガラが悪そうだな」と感じてしまう人がいるかもしれません。ですが実は、車高が低いクルマには、単に「悪そうに見える」だけではない利点があるのです。その具体的内容を、歴史的背景を交えながら解説します。(モータージャーナリスト 諸星陽一)
車高が低いクルマが
「格好良い」と見なされる深いワケ
車高がかなり低いクルマを見かけたとき、あなたはどう思いますか? もしかすると、「このクルマの持ち主は不良(ヤンキー)なのかな」「ガラが悪そうだな」と勘繰ってしまう一般ドライバーがいるかもしれません。
それも無理はありません。筆者の見解では、確かに不良というジャンルの人たちは「格好良いクルマ」を好む傾向にあります。そして、古くからクルマ好きの間に「車高が高い=格好悪い」「車高が低い=格好良い」という価値観があるのは事実です。
筆者は車高が高いクルマを不格好だと決めつけるつもりはありませんが、車高の低いクルマについて分析してみると、単に「悪そうに見える」だけではない、れっきとしたメリットがあることが分かります。本稿では、その利点について解説していきます。
まずは、車高の違いがクルマの走行性能に及ぼす影響から考えてみましょう。サーキットでの競技で使われるレーシングカーは車高がかなり低くなっています。ルールの関係でノーマルサスペンションを使わなくてならない場合は別ですが、サスペンションの変更が認められている場合、基本的には車高を下げるセッティングをします。
ここに、車高が低いクルマが好まれる理由が隠されています。