「ドラレコ作動中」「ただいま録画中」ステッカーを貼ったクルマが嫌われるワケPhoto:PIXTA

あおり運転の標的になることを防ぐため、愛車に「ドラレコ作動中」「ただいま録画中」などと書かれたステッカーを貼る人が増えています。ですが、こうしたステッカーを貼ったクルマに反感を持つ人も多くいるようです。周囲に配慮しつつ、あおり運転から身を守るには、どんな「代替策」が求められるのでしょうか。(自動車ジャーナリスト 吉川賢一)

「ドラレコ作動中」「ただいま録画中」…
「あおり運転防止ステッカー」って意味ある?

 事故や「あおり運転」の被害に遭った際に、その映像を記録できるドライブレコーダー(ドラレコ)。駐車中のクルマの「監視カメラ」としても使えるため、安全なカーライフを楽しむためには不可欠な装備となっています。

 実際、普及率も右肩上がりとなっています。ソニー損害保険が2023年6月に実施したインターネットリサーチ(※)によると、ドラレコの搭載率は52.5%に到達し、2013年の調査開始以来初めて50%を突破。安全運転を支援する「車線逸脱防止支援システム」(40.4%)や「自動ブレーキ」(35.0%)の搭載率を上回りました。それだけ多くのドライバーが必要性を感じているのでしょう。

(※)月に1回以上運転する18~59歳の男女が対象、有効回答1000人。

 ドラレコがここまで普及した背景には、悪質なあおり運転に起因する事件・事故があります。例えば2017年には、東名高速の本線上で強制停止させられたクルマに後続車が突っ込み、夫婦二人が亡くなる痛ましい事故が起きました。2019年には常磐道本線上で「殴打事件」が発生し、世間を騒がせました。

 このうち19年の事件では、加害者の男が窓ガラス越しに殴りかかってくる映像がドラレコに残されており、その様子がニュースでたびたび報じられました。こうしたドラレコの映像は、裁判における証拠としても大いに役立ちます。

 そのためか、昨今はドラレコの普及に伴って「ドラレコ作動中」「ただいま録画中」などのステッカーを貼っているクルマを見かけるようになりました。ですが、ステッカーの評価は賛否両論。「あおられることが減った」という声がある一方で、「うざい」などとネガティブに捉える人も少なくないようです。

 あおり運転の被害を防ぐためのグッズに、なぜ反発の声が挙がっているのでしょうか。周囲に配慮しつつ、あおり運転から身を守るには、どんな「代替策」が求められるのでしょうか。道路交通法や運転マナーに詳しい自動車ジャーナリストが考察します。