米連邦準備制度理事会(FRB)は1年前、政策金利を5%を超える水準に引き上げた。インフレ率を大幅に低下させ、労働市場を減速させるという二つの目的を達成する強い意志があった。
取り組みは奏功した。インフレ率は、FRBが重視する指標では伸び率が当時の4.3%から足元では2.6%にまで低下した。下げ幅は1984年以来の大きさで、インフレ率はFRBが目標とする2%が視野に入ってきた。一方、失業率は3.6%から4.1%に上昇しており、上げ幅は景気後退期以外ではめったに見られない大きさとなっている。
FRBは勝利宣言をためらっているようだ。ジェローム・パウエルFRB議長は今週、利下げをいつ行うか、あるいは実施するどうかについて語ることを控えた。ニューヨーク連銀のジョン・ウィリアムズ総裁は、判断にはもっと多くのデータが必要との認識を示した。クリストファー・ウォラーFRB理事は、利下げは「近づきつつある」と話すにとどめた。市場は9月の利下げを予想している。