その上で、これまで高価なモデルだけが実現してきたモバイルノートの仕様を、ほぼ満たしているのだ。サイズは最厚部35.5×255×166ミリと非常にスリム。8.9型ワイド液晶を搭載し、重量は約1.27キロだから、日常的に持ち歩くのも余裕だ。バッテリー駆動時間は、3セルで2時間強、6セルでも4時間台半ばと、やや短いのが唯一の弱点である。

高スペック、ワイド液晶、スリムと高価格品並み

 最も驚くのは、「安くても安物ではない」ことだ。ボディは、アルミとマグネシウム合金の組み合わせで、表面はアルマイト処理されている。手を触れるとがっちりした金属の質感が伝わってくる。キーボードも打ちやすく、毎日使ってもストレスがたまらないだろう。

 もしも価格を知らずにこのモデルを試用してみたら、「17~18万円くらいか」と思ってしまう。その価格帯ならば、バッテリー駆動時間が短いことを嘆き、「24万円程度の携帯ノートにはやはり劣る部分がある」と評価するはずだ。

 にもかかわらず、上位モデルで8万円、下位モデルは6万円である。この価格なら、バッテリー駆動時間の短さも妥協できる。ちなみに、上位モデルにはバッテリーが2本付いてくる。両方持ち歩けば長時間駆動できるのだが、荷物が重くなる。やはり、駆動時間は弱点だろう。

 だが、これまで予算が足りずにモバイルノートを持ち歩けなかったセールスパースンがひとり1台使えるようになることは大きい。多少の弱点があっても、「仕事のパフォーマンスを上げることができるモバイルノート」として活躍できるはずだ。

 この価格を実現できたのは、ワールドワイドに展開するHPだからこそ。特にアジア市場では小さなノートの人気が高い。そこを狙った戦略だろう。

 これまで、超軽量・長時間駆動のモバイルノートは、日本メーカーの独壇場だった。だがこのモデルの登場によって、一気にパソコンがコモディティ化する流れができそうだ。

 ヘビーなWindows Vistaの登場でパソコンの性能が不足し、1年程前には値上がり傾向が見えたパソコン市場。ところが、あっという間にハードの性能が向上し、小さなモバイルノートまで値下がりが始まっている。もはや、パソコンは特別な商品ではなくなってきた。「10万円以下が当たり前」の時代になり、学生や割り切ったビジネスユースでは、7万円程度で買える時代がやってきそうだ。すでにアジア各国では、その程度の価格帯が当たり前なのである。