保護者に負担がかかることから、昨今はベルマーク集めやバザーなどの恒例行事を取りやめるPTAが出てきています。その一方で、これらの作業を続けるPTAも根強く残っており、組織ごとの方針の違いが鮮明になってきました。ベルマーク不要論が出ても「やっぱり続ける」PTAが存在するのはなぜなのでしょうか。PTA・学校・保護者に豊富な取材経験を持つ筆者が考察します。(ライター 大塚玲子)
「学校・子どものため」で続いてきた
「ベルマーク運動」が下火に!?
PTAで最近よく「なくなった」と聞こえてくるのが、ベルマーク集め、バザー、資源回収などの活動です。それぞれの活動がどんなものか、まずはご説明しましょう。
「ベルマーク」は子どもの頃に見かけたよ、という人も多いのでは。市販の商品パッケージに印刷されたベルマークを集めて財団に贈ると、「1点=1円」というレートで換算され、そのお金で備品を買って自分たちの学校に寄贈できるというものです。
善意にあふれた活動ですが、難点は何しろ手間暇がかかること。集めたマークを協賛会社(※)ごと、さらに点数ごとに分類して数えやすくまとめ、合計何点になるかを計算するまでの作業が、PTAに求められているのです。
※協賛会社:商品にベルマークを付けている会社。それとは別に、「ベルマーク預金」で買える備品などを売っている会社は「協力会社」と呼ばれます。
寄付としては非常に低効率と言わざるを得ません。4、5人の保護者(ほぼ母親)が半日かけて作業しても2、3000円分の寄付しかできないので、長い間「やめたい」という声が聞かれ続けてきました。こういった作業が好きな人も意外といるのですが、PTAには「必ず何人か(複数人)でやる」というルールがあり、希望しない人にもやらせることが多かったからです。
「バザー」は、各家庭や近隣から不用品を持ち寄り、値付けをして体育館などで販売するイベントです。子どもたちや保護者、地域の人など来場者にとっては楽しいイベントでも、準備から当日まで作業量がとても多いので、担当する保護者からはよく悩みの声が聞こえてきます。バザーの収益金もやはり、学校に寄付する備品の購入などにあてられます。
「資源回収」は、各家庭で出た古紙・缶・ビンなどの資源ごみをPTAで集め、自治体に回収してもらい、その奨励金等を学校や周年行事への寄付にあてる活動です。保護者の作業量はまちまちで、集めた資源ごみの保管場所と回収場所が離れていればリヤカーに積んで運んだりしなければなりませんが、保管場所で回収してもらえる場合は、比較的手がかかりません。
要するに、これらは保護者の無償労働によって学校に「寄付」を行う活動です。PTAは保護者にこういった活動を「必ずやってください」と強いることが多く、不満の声があがってきましたが、「学校のため、子どものため」と言われると断りづらいものでしょう。学校への遠慮が働いて、続いてきた面もありました。
しかし最近は、冒頭でも書いたように、こういった活動をやめるPTAが増加しました。その一方で、これらの作業を何としても続けるPTAも存在しており、組織ごとの方針の違いが鮮明になってきました。変革の機運が高まっても「ベルマークを集め続けるPTA」が根強く存在するのはなぜなのでしょうか――。
・ベルマーク集めを一旦廃止→「まさかの復活」させたPTAの内情
・「ベルマーク集めが好き」な保護者がサークル活動を開始!?
・ベルマークの「協賛をやめた」企業リスト