経営者にとっての「チェックリスト」
社内研修の課題本にも
そして5つの競争要因に対処する場合、以下の3つの基本戦略がカギを握ることになります。第一は「コストのリーダーシップ」。同業者よりも低コストを実現し、コスト面で最優位に立とうという戦略です。第二は「差別化」。自社の製品やサービスを差別化して、業界の中でも特異だと見られる何かを創造しようとする戦略です。第三は「集中」。特定の買い手や特定の地域市場、あるいは製品の種類などに企業の資源を集中する戦略です。
いちばん重要なことは……3つの基本戦略のどれがその企業にとって適切なのかを決定するにはどうすればよいか、という問題を浮かび上がらせる点である。この選択の決め手は、その企業の強みにいちばんぴったりとし、競争相手がいちばん応戦しにくい戦略を選ぶことにある。(67~68ページ)
2010年6月、NHK教育テレビ(現在はEテレ)の「仕事学のススメ」において、外食大手のワタミが本書を社内研修の課題本にしていることが放映されると、小さからぬ反響が巻き起こりました。結果、重版が決定し、新訂版となってから32刷の発行となりました。ワタミの渡邉美樹代表取締役会長兼CEOは、自身のブログで以下のように綴っています。
ポーター教授は、私の「モヤ」っとしていた経営感覚、体験からくる「第六感」みたいなものを全部言葉にしてくれました。「経営」が論理立てて整理されており、経営の「チェックリスト」として使えます。
……ワタミの幹部社員でさえ5回読んで、初めて経営とは何かが少し分かるようです。かたい本ですが10回目にはマンガを読むように読めるようになると約束します。