「早くやらなければ!」とわかってるのに、ついつい先延ばしにしがちな「実家片づけ」。「実家片づけ」をしないまま親が認知症になったり亡くなったりすると、「お金」「時間」「労力」という負担が子ども世代にのしかかってくるので、「実家片づけ」は”親が元気なうちに”取り組むことが大切です。とはいえ、ほとんどの親は、最初は片づけることに反対し、親子喧嘩に発展することもしばしばです。乗り気じゃない親を説得し、実家の膨大なモノや書類を片づけ、親が最期まで楽しく安全に暮らせる家にどう変えていくか……。親子だからこそ難しい「実家片づけ」のポイントを解説した、片づけアドバイザー石阪京子氏の最新刊『「介護」「看取り」「相続」の不安が消える! 実家片づけ』から、そのテクニックを抜粋・編集してお伝えします。
親の切ない気持ちを理解する
まず、心構えとして持っておいていただきたいのは、高齢になった親の切ない気持ちを理解するということです。
「もしも自分が、親と同じ年齢・状況だったら?」と想像してみてください。
長年連れ添った伴侶に先立たれて独りぼっちかもしれません。体は思うように動かないし、脳の衰えも感じているでしょう。
そんな中、子どもからは「家を片づけて」と言われます。
でも、家の中を見渡すと、思い出の品ばかり……。
どうでしょう。「よし、片づけよう!」という気持ちに果たしてなるでしょうか?
実家にあるモノって、思い出しかないんです。どれも素敵な思い出。眺めていると鮮明に蘇ってきます。それを片づけるというのは、本当に辛いことです。今まで生きてきた証しを手放す。こんなに辛いことはありません。
実家片づけは、正しく実践すれば親も子も必ず幸せになれる一大プロジェクトです。けれども、その正義をふりかざして強行突破をする前に、まずは親の切ない気持ちを理解して寄り添うことがとても大切です。
モノの思い出を聞いてあげよう
具体的には、家の中にあるモノの思い出を聞いてあげてください。
例えば、昔からタンスの上にある人形に話を振ってみると、思い出話に花が咲くこともあるでしょう。そうすると、不思議なことに「これはもういらないかな」となることがあるのです。
そのモノに詰まっていた感情を全出しすることで、モノへの執着が取れて、思い出として昇華できるのかもしれません。だから、話を聞いてあげるというのはとても大切です。
大事なモノは捨てない。大事なモノを知るために片づける
誰だって、自分が大切にしているモノを「そんなのいらないでしょう」なんて言われたらイヤですよね。
その人の言うことなんて、もう聞きたくないと思うはず。
ですから、親の気持ちに寄り添って、思い出を語ってもらい、感情を全出ししてもらう。
まずはそこから始めてみるのも、心のブロックを外すためには有効です。
そしてもちろん、大事なモノは捨てなくていいですよ。
そのことは、親御さんにもしっかり伝えてください。「なんでもかんでも捨てられてしまうのでは」と思って親御さんが片づけを拒んでいるケースはよくあります。
実家片づけで、大事なモノは捨てません。大事なモノを知るために、実家片づけをするのです。
*本記事は、石阪京子さんの最新刊『「介護」「看取り」「相続」の不安が消える 実家片づけ』から、抜粋・編集したものです。