「早くやらなければ!」とわかってるのに、ついつい先延ばしにしがちな「実家片づけ」。「実家片づけ」をしないまま親が認知症になったり亡くなったりすると、「お金」「時間」「労力」という負担が子ども世代にのしかかってくるので、「実家片づけ」は”親が元気なうちに”取り組むことが大切です。とはいえ、ほとんどの親は、最初は片づけることに反対し、親子喧嘩に発展することもしばしばです。乗り気じゃない親を説得し、実家の膨大なモノや書類を片づけ、親が最期まで楽しく安全に暮らせる家にどう変えていくか……。親子だからこそ難しい「実家片づけ」のポイントを解説した、片づけアドバイザー石阪京子氏の最新刊『「介護」「看取り」「相続」の不安が消える! 実家片づけ』から、そのテクニックを抜粋・編集してお伝えします。

【実家片づけ】片づけないまま親が「認知症」になったら…。恐ろしい末路ワースト1写真はイメージです Photo: Adobe Stock

親と仲が悪くても、「実家片づけ」からは逃れられない

Bさんは、親とあまり良い関係性ではなかったため、ほとんど実家に帰っていませんでした。けれども、ある日警察から電話がかかってきたんです。「お母さんが徘徊していました」と。
驚いて駆けつけると、家は荒れ放題。玄関を入ってすぐ、布団があるような状態です。冷蔵庫の中もぐちゃぐちゃで、モノの在庫を把握できていないよう。

「これはもしかして……」。

Bさんの嫌な予感は的中しました。そう、お母さんは認知症になってしまったのです。

お母さんと仲が悪いといっても、放っておくわけにはいきません。とはいえ、お世話をするためにはお金が必要です。だから、ひとまず財布を探したものの、どこにあるかわかりません。家中、モノやゴミであふれかえっています。

仕方なく、介護費用はBさんが自腹を切ることに。けれども、そのための資金が潤沢にあるわけではありません。しかも相手は、わだかまりがある相手です。これ以上、自分のお金を使いたくありません。
さらに恐ろしいことには、家を売ろうにも、お母さんは認知症のため、もはや売ることができません。資産の保有者が認知症になると、たとえ親族であろうと勝手に売買することはできなくなるのです。

その後、お母さんが亡くなり、Bさんは泣きながら実家を片づけました。涙が止まらない理由は悲しいからではありません。腐っているモノが多くて悪臭がきついんです。

「もういやだ……」。

いろいろな感情と涙を垂れ流しながら、なんとか片づけを終え、ようやく家を売却することができました。

*本記事は、石阪京子さんの最新刊『「介護」「看取り」「相続」の不安が消える 実家片づけ』から、抜粋・編集したものです。