賃上げで家計は消費を増やすのか?個人消費「4四半期連続マイナス」の“落差”の理由Photo:PIXTA

1~3月期雇用者報酬は過去最高更新
今夏のボーナスも昨夏上回る?が、消費は低迷

 2024年の春闘の賃上げ率は、連合の最終回の集計で5.10%(うちベースアップ分が3.56%)と33年ぶりの高さとなった。

 家計部門全体の賃金所得である雇用者報酬(労働者数×1人当たり賃金、名目季節調整値)も、24年1~3月期に304.4兆円と過去最高額を更新したが、4~6月期以降はさらに増加が見込まれる。

 6月からは1人4万円の定額減税も始まり、今年の夏のボーナス支給額は、企業業績の改善や人手不足を背景に昨年夏の前年比+2.0%を上回る高い伸びが期待される。

 日経平均株価も、このところ一時の勢いは弱まったが、史上最高値を更新するなど好調だ。家計の所得を取り巻く環境は良好な状態にあり、個人消費にとっては大きな押し上げ材料だ。

 だが、GDP統計(季節調整済み)の個人消費(実質)は、23年4~6月期以降、4四半期連続で前期比マイナスが続く。

 消費環境の改善と実際の消費の「落差」の原因は何なのか。分析すると、今後の消費回復の「鍵」が見える。