「何をやっても敵わなかった王者がここまで凋落するとは……」
「研究開発がさっぱりなのに、資金を配当に回し過ぎ」
「かたちだけはグローバル化したが、実態は新薬が常に不足する崖っぷち状態」
改めて語るまでもなく、戦後ほぼ一貫して、国内製薬業界の雄との評を集めてきた武田薬品。小誌はクリストフ・ウェバー社長が率いる同社の「変調」と「異常」と「危機」について報じてきた。ようやくここにきて世の論調も、広告欲しさのメディアでも依然おずおずとではあるが、追随する動きが感じられるようになってきた。
6月、84年の生涯を閉じた武田國男元会長・社長がトップとしての敏腕を振るった時代から、一貫して同社の“与党”であった日本経済新聞でさえ、累計150億円に達するウェバー社長に与えた巨額報酬に見合うだけの実績が伴っていないのではないかと、苦言を呈する記事を掲載した。経済と経営に関する国内唯一のクオリティーペーパーとしての自負が本当にあるのならば、余りに遅い「お気持ちの表明」だったが、この報道で、潮目が変わったことは確かだろう。背景にあるのはもちろん、ウェバー経営の化けの皮が剥がれつつあることが、誰の目にも隠せなくなってきたからにほかならない。