過去の成功例が通用せず、優れた手法はすぐに真似される「正解がない時代」。真面目で優秀な人ほど正攻法から抜け出せず、悩みを抱えてしまいます。リクルートに入社し、25歳で社長、30歳で東証マザーズ上場、35歳で東証一部へ。創業以来12期連続で増収増益を達成した気鋭の起業家、株式会社じげん代表取締役社長執行役員CEO・平尾丈氏は、「起業家の思考法を身につけることで、正解がない時代に誰もが圧倒的成果を出すことができる」と語ります。「自分らしく」「優秀で」「別の」やり方を組み合わせた「別解」を生み出すことで、他人の「優等生案」を抜き去り、突き抜けた結果を実現することができるのです。本連載では、平尾氏の初の著書となる『起業家の思考法 「別解力」で圧倒的成果を生む問題発見・解決・実践の技法』に掲載されている「現代のビジネスパーソンが身につけるべき、起業家の5つの力」から抜粋。「不確実性が高く、前例や正攻法に頼れない時代」に自分の頭で考えて成果を生む方法を紹介します。(初出:2022年2月24日)

「失敗してもいいから、とりあえずやってみよう」は、危ないワケ【書籍オンライン編集部セレクション】Photo: Adobe Stock

考える前にとりあえず行動している

何をやっていいかわからない人たちの次に多いのが、考える前にとりあえず行動している人だと思います。

「走りながら考える」と言われるように、最近ではビジネスパーソンが目指すべき行動様式として評価されている面もあります。

しかし、「とりあえず、やってみよう」と打ち手をひとつしか考えないまま、なんとなく行動してしまうパターンが多く見られます。

そのため、失敗したときの「次の一手」がありません。だから、そこで立ち止まってしまう。そして立ち止まっている間に、時間ばかりが過ぎて成果が出せないのです。

失敗した部下に「何をやったの」と聞くと、こんな答えが返ってきます。

「とりあえず1回やったんですけど、うまくいかなくて……。いろいろ考えているうちに、いまになってしまいました」

これは、若い社員によくある現象です。

もちろん、成功を狙ったうえでの失敗は構いません。ただ、失敗が起こるという前提に立ち、大きく転ばないように準備し、複数の打ち手を考えておけば、失敗は小さくて済みます。そうすれば、時間を無駄にせず、次の手を打つことができるのです。

しかし、とりあえず行動する人は準備をしていません。最近は失敗してもいいから、やってみることが大事とよく言われます。それを別に失敗しても大丈夫と勘違いし、何も考えずに失敗してしまうのです。

とりあえず行動して成功したことは、私の経験では一度もありません。いきなり行動すると、たいていは失敗します。ビジネスは決して怖いものではありませんが、それほど甘いものでもないからです。

行動する前には、時間をかけて複数のプランを考えなければなりません。

プランがないまま行動しても、果実を得ることはできません。

(本原稿は、平尾丈著『起業家の思考法 「別解力」で圧倒的成果を生む問題発見・解決・実践の技法』から一部抜粋・改変したものです)