三中全会後の中国は
ますます“中国的”になる
前回コラム「習近平が3年後も続投か、中国共産党の重要会議「三中全会」で描かれた“未来予想図”とは?」では、7月15~18日、例年よりも半年以上遅延するという異例の形で開催された三中全会を扱った。「中国式現代化」の提起、市場の後退と安全の台頭、改革任務完了期限として設定された2029年に示唆される習近平政権4期目入りといった角度から検証を試みた。
筆者の分析によれば、中国の今後の方向性という観点からすると、三中全会最大の示唆は「中国が従来以上に“中国的”になる」「我が道を突き進むのが明らかになった」という点である。
一部西側諸国が期待するような民主化や自由化ではなく、社会主義制度の下、中国共産党が絶対的権力を保持・行使する形で、建国百周年に当たる2049年に「社会主義現代化強国」を全面的に作り上げるべく邁進する、その方法論と方向性が一層鮮明になったということである。
我々はそういう前提で、習近平政権下における中国の歩みを見ていく必要がある。
三中全会閉幕後、『さらなる改革の全面的深化、中国式現代化の推進に関する中共中央の決定』と題された文書が公表され、前回コラムでも解読した。だが、その後の7月末、中国共産党指導部よるフォローアップともいえる議論が、経済分野を中心に展開されている。
筆者の理解によれば、それらは、三中全会という政治の大舞台では踏み込めなかった内容を補充する、あるいはより具体的かつ詳細に政策実行の現場に落とし込む、といった狙いがあるようだ。