海外アーティストの単独公演も軒並み上がっているのでこれも仕方がない話なのだが(当然、円安の影響もあるでしょう)、金額を見て「高い!」と思う人は多いはず。さらに場内での食事代(1食あたり1000~1500円くらい。ビールは700円だったり)、宿泊代も考えるとなかなかに高いハードルだ。「チケット代がいくらでも絶対に行く!」と決めているフジロック・ファンには関係ないことだが、「フジロックに興味があって、1度行ってみたい」人が気軽に参加できる環境づくりは必要不可欠。今年は新たな試みとして、金曜ナイト券、Under 18 チケットや、手軽にキャンプができるキャンプ・ヴィレッジ、場内の移動を快適にするサービスなどが導入されたが、こうした施策のさらなる充実が求められそうだ。

 山のなかで世界各国のさまざまな音楽に触れ、知らなかったアーティストに出会い、食事やお酒を楽しみながら、昼寝したり、ぼんやりしたり、久々に会った友人と話し込んだり……という3日間は、本当に貴重。私も普段はスマホ経由の情報を受け取り過ぎて鬱々と過ごしているわけですが、フジロックに行くと自然とリラックスし、心と身体がいい感じで開放される。お客さんもみんな笑顔でオープンマインドなので、めちゃくちゃ居心地がいい。2025年の開催は、7月25日~27日。当然、私もスケジュールを空けておきます。

(文/森 朋之)

森朋之(もり・ともゆき)/音楽ライター。1990年代の終わりからライターとして活動をはじめ、延べ5000組以上のアーティストのインタビューを担当。ロックバンド、シンガーソングライターからアニソンまで、日本のポピュラーミュージック全般が守備範囲。主な寄稿先に、音楽ナタリー、リアルサウンド、オリコンなど。

AERA dot.より転載