『絶対内定2026 自己分析とキャリアデザインの描き方』の発売とともに2026年卒の就職活動が本格化している。本書の刊行を記念して、人気企業で採用から育成までを支援するダイヤモンド・ヒューマンリソースの採用コンサルタント・福重敦士氏に就活の心得を聞いた。本記事では、就職をやめておいたほうがいい企業の見抜き方、企業選びについて解説する。(取材・文 奥田由意、構成 ダイヤモンド社書籍編集局)
フィードバックの「ぬるい」会社は要注意
就活をする際に、絶対にやめたほうがいい企業を見抜くポイントはどこにあるのでしょうか。企業選びはどうすればいいのでしょうか。そして、実際どういう企業に就職すれば、「正解」なのでしょうか。
やめたほうがいい企業を判断するポイントとしては、企業の儲けが消費者の最大幸福と反比例するところということが挙げられます。
つまり、明らかに消費者が損をしたり、目に見えて劣悪なサービスを提供したりすることによって、企業の利益が生まれているという構造の企業の場合です。働いているうちに、自分が一生懸命やっていることが顧客や消費者のためになっていないことに気づいて、その矛盾に悩むことになります。まずこれが1つです。
そして2つ目はインターンシップで、「フィードバックができない企業」です。
インターンシップで成果を発表した学生に対して、「今日は学生さんの一生懸命な姿を見て私達も初心を思い出しました」といったような「ぬるい」感想だけで、お茶を濁すような企業はオススメしません。
実際の仕事は、研修などがあったとしても、一緒に働く身近な先輩や社内の人たちとの関わりの中で覚えていくものです。
インターンシップに参加した学生にすら、まともなフィードバックができない企業は、普段の業務においても、先輩が後輩に仕事を教えたり、新入社員への適切なアドバイスをしたりする文化が育っていない企業です。
適切なフィードバックができない企業では、新入社員が一人前になるのに時間がかかります。企業にとっても非常に非効率です。
インターンシップにおいて、先輩や人事担当者が学生の言動に対して適切なアドバイスが適宜できているかどうかは重要なポイントです。この点に注目して、企業の質をよく見極めてください。
いつかは転職する、
だから気楽に就活を
近年の学生はキャリアに対してニュートラルだと私は感じています。
終身雇用はとうに崩壊しているということを学生側もわかっていて、死ぬまで同じ企業で働こうと思っている人は少ないです。
2、3年経験を積めれば、転職しようか、とか、環境が合っていればある程度長く同じ企業にいようかとか、この企業には長くいないけれど、ここに行けばある程度鍛えられそうだという観点で企業選びをしている人も少なくありません。
就活は結婚相手を探すのに似ているという考え方もあります。
結婚相手を探す場合、最初にお付き合いした人が相性抜群で、その人と一生添い遂げるなどと考えると、慎重になりすぎたり、いくらでも気になるところがでてきたりして、ゴールが遠のいてしまいます。
たまたま縁あってつきあった人との相性がよければ、その人と結婚してもいい。何人かと交際してみて、自分に向いている人が見つかれば結婚すればいい。もし結婚しても、やはり合わなかったと思ったら、それぞれ別の道を歩いてもいい。就活もそのくらいの気持ちで考えればいいと思います。
つまり、新卒で一生働きたいと思う企業が見つかると思わないほうがいいのです。
たまたま縁があって内定を得られた企業で働いて、向いていればある程度長い期間いればいいし、向いていなければやめて別の企業を探してもいい。何社か経験して、自分に合う仕事がわかるということもある。そのくらいの気持ちで企業選びをするのがいいのではないでしょうか。
株式会社ダイヤモンド・ヒューマンリソースHD営業局長
43年続く「ダイヤモンド就職人気企業ランキング調査」で毎年上位にランクインする超大手・人気企業の採用コンサルティングを手掛ける。メーカー、商社、金融、インフラ、マスコミ、コンサル等、採用マーケットを知り尽くしたカリスマ営業パーソン。同社のLIVEセミナーの講演も主宰する。