『絶対内定2026 自己分析とキャリアデザインの描き方』の発売とともに2026年卒の就職活動が本格化している。本書の発売を記念して、人気企業で採用から育成までを支援するダイヤモンド・ヒューマンリソースの採用コンサルタント・福重敦士氏に就活の心得を聞いた。本記事では、終盤に入りつつある2025年の就活傾向について解説する。(取材・文 奥田由意、構成 ダイヤモンド社書籍編集局)

【26卒必見】25卒の就職活動を分析して判明! 絶対知っておくべき26卒就活の傾向と対策超早期化だけかと思いきや……(Photo: Adobe Stock)

短期集中化からの長期分散化へ

 2025年の就活が終盤を迎えています。今年はどんな学生が採用されやすかったのでしょうか。

 私は長年企業の採用活動に携わっていますが、企業がほしいのは、今年に限らず「当事者意識を持っている人」。この一言に尽きます。これはある意味永遠に不変の傾向です。

 それは今風の言い方を借りれば、「就活は推し活ではない」ということです。
 このことを理解している人のみが内定を獲得しています。

 就活のあり方は、大きく観客型就活と当事者型就活とに二分できます。

 観客型とは、まるで「推し活」をするかのように、「この企業が好き」「この企業にどうしても入りたい」「この企業はいまいち」といった、ファン目線で就活を行うものです。

 それに対して当事者型は、自分がこの企業で何ができるのか、というように、自分がその企業に入って実際に働くことを想定して、当事者意識を持って企業を見て、就活を行います。

 つまり、「就活」を「推し活」にしない。これがまず押さえておいてほしいことです。

 25年卒から変わったこととして、インターンシップから採用できるようになったということが挙げられます。厳密には、「インターンシップで得た情報を採用活動に利用してもよい」というのが正しい理解です。

 しかし実際には、企業が勝手に拡大解釈して、インターンシップで優秀そうな学生がいれば早くから声をかけておいて、場合によっては内定をほのめかすようなことを言う。その後も、3月1日のいわゆる「就活の情報解禁日」まで、適宜学生に連絡をして関係をつないでおく――水面下ではこのようなことが行われています。

 結局、インターンシップで内々定を出すということに近い実態になっているのです。

 企業は、学生が、まだ企業研究を進めていない、まっさらの状態のときに、接触することを望んでいます。なぜなら、学生は、あまり知識がない状態で最初に知った企業を「企業選びの基準」にし、その会社を中心に企業選びをする傾向があるからです。そのため企業はできるだけ早く学生とコンタクトを取りたいのです。

 こういう状況で何が起こったか。インターンシップを重視した就活の早期化が起こったというのはその通りなのですが、より正確には、就活の「長期分散化」が起こり、「長い期間で多くの内定が出るようになった」ということになります。

採用側は先行逃げ切り型へ

 データを見ると、(インターンシップの情報利用が解禁になる前ではありますが、すでにインターンシップが活発化している)2024年卒が持っている内定の数は平均2.94社(※)と、過去最高です。内定を出すまでは企業が優位、内定が出てしまえば、学生が優位ということです。

 ただし、ほとんどの学生は、「そこそこ」の企業から内定が出れば、それより志望度の低い企業は受けなくなります。そして、内定先よりも「格上」の企業にチャンスがあるのではないかと思って志望先を絞りながら就活を続けます。

 ですが結局、他の会社からは結果が得られず、最初の頃に出会って内定を出してくれた企業に就職するというケースも多くなっています。

 この傾向をうまく利用して、いくつかの大手の有名企業では、非常に早い時期のインターンシップで大量に内々定を出したりするということも行われています。先行逃げ切り型というわけです。

 以上が25年卒の就活傾向です。26卒の就活はスタートしたばかりですが、より早期化が進んでいるということは認識しておいたほうがいいでしょう。

 ※出典:「2024卒採用・就職活動の総括」(株式会社ダイヤモンド・ヒューマンリソース)

福重敦士(ふくしげ・あつし)
株式会社ダイヤモンド・ヒューマンリソースHD営業局長
43年続く「ダイヤモンド就職人気企業ランキング調査」で毎年上位にランクインする超大手・人気企業の採用コンサルティングを手掛ける。メーカー、商社、金融、インフラ、マスコミ、コンサル等、採用マーケットを知り尽くしたカリスマ営業パーソン。同社のLIVEセミナーの講演も主宰する。