『絶対内定2026 自己分析とキャリアデザインの描き方』の発売とともに2026年卒の就職活動が本格化している。本書の発売を記念して、人気企業で採用から育成までを支援するダイヤモンド・ヒューマンリソースの採用コンサルタント・福重敦士氏に就活の心得を聞いた。本記事では、就活生である子供に「就職留年したい」と言われたとき、親はどう対応すべきかを解説する。(取材・文 奥田由意、構成 ダイヤモンド社書籍編集局)
4年生の12月まではがんばる
よく受ける相談で、「子供に就職留年したいと言われたのですが、認めるべきでしょうか」というものがあります。
これについて、相談がどのタイミングでなされたかということで、多少答えが変わってきます。
もし、それが4年生の6月なら絶対にあきらめてはいけません。チャンスはいくらでもあります。極端な話、4年生の12月末、年内くらいまでは採用活動をしている企業があるはずなので、一生懸命探すべきです。第一志望の企業は無理だとしても、どこかには内定できます。
タイミングについて以上のことを踏まえたうえで、それでは一般に、子に就職留年をしたいと言われた場合、親はどうすればいいのでしょうか。
少し厳しいことを言うようですが、お子さんが「就活を推し活だと思っている」場合、おそらく何年就職活動を続けても良い結果を得ることはできないでしょう。
「憧れのXX社に入れなかったから、どうしても留年したい」
「内定はあるけれど、どうしても商社がいいから留年したい」
といった理由の場合、お子さんは就活を「推し活」だと思っている可能性があります。つまり、当事者型ではなく、観客型就活をしているということです。
そして、その気持ちのままでいる限り、希望する企業への就職は難しい。これを子に伝えるのが、親にとって必要な厳しさ(それは優しさでもあります)だと思います。
その就活は「推し活」になっていないか?
企業からすれば、「御社にどうしても入りたいです」というだけの人は要りません。
人気企業ならば、そんな就活生は掃いて捨てるほど応募してくるのです。「あなたのどういう能力、資質をもって、我が社でどういうことをしてくれるのですか」ということを企業は問うています。それに答えるのが「当事者として就活する」ということの意味です。
さらに就職留年すると、2年目に受けた企業にも、その人が1年目に就職できなかったことがわかります。こうなると「1年目の評価を覆すだけのものを提示できるか」が課題になります。
1年目とは違って、格段にハードルが上がった状態で応募し直さなければならないのです。果たしてそれが2年目で急に可能になるのかどうかもよく考えるべきです。
もちろん、最終的に1年目で内定を得られるよう、ぎりぎりまでがんばって就活を続けるのか、留年するのかを決めるのはお子さん自身の問題です。
まずはお子さんの就職活動が「推し活」化していないかどうか見定め、もしそうなら一刻も早く「当事者型」の就活をするように促してあげてください。
もし「当事者型」に姿勢を変えられることができたら、就職浪人しなくても、よい結果を得られる可能性は格段に高まるのです。
株式会社ダイヤモンド・ヒューマンリソースHD営業局長
43年続く「ダイヤモンド就職人気企業ランキング調査」で毎年上位にランクインする超大手・人気企業の採用コンサルティングを手掛ける。メーカー、商社、金融、インフラ、マスコミ、コンサル等、採用マーケットを知り尽くしたカリスマ営業パーソン。同社のLIVEセミナーの講演も主宰する。