『絶対内定2026 自己分析とキャリアデザインの描き方』の発売とともに2026年卒の就職活動が本格化している。本書の発売を記念して、人気企業で採用から育成までを支援するダイヤモンド・ヒューマンリソースの採用コンサルタント・福重敦士氏に就活の心得を聞いた。本記事では、就活で注意することを3つ解説する。(取材・文 奥田由意、構成 ダイヤモンド社書籍編集局)

【気をつけて】就活生が注意すべき「怪しい就活ビジネス」、騙されないために覚えておきたい3つの注意点怪しげなサロンやセミナーには要注意!(Photo: Adobe Stock)

内定者に人事権はない

 今回は就活で注意すべきこと3つをまとめてお話します。

 1つ目は、「内定者」から発信される情報についてです。

 確かにみんな内定がほしいので、どうやったら内定を取れるかが気になるのは仕方がないことです。とりわけ、ひとつ上の学年で内定した人の話ならぜひ聞きたいと思うかもしれません。

 雑誌やネットの課金記事、会員制ブログ、YouTubeチャンネルなどに内定者座談会といったようなものがあふれています。無料記事などで、参考程度に読むくらいなら害はないかもしれませんが、全て真に受けるのはお勧めしません。

 考えてもみてください。内定者というのは、その企業にまだ就職してもいない、企業の部外者です。 

 当然ながら、現役就活生に対しては何ら人事権を持ってはいません。有名企業に受かった内定者であっても、それは何万人かの応募者の中から、いくつかの偶然のかけあわせでたまたま採用された人にすぎません。

 内定者が「私はこうしたから、内定した」と自分で因果関係を分析して言っていることは、あまりあてにならない話です。なぜ採用されたのか、本当のところを人事担当者から教えてもらっているわけではないのです。

 大事なのはあくまで公式情報。そして、企業主催、企業公認の説明会で、その企業の人たちが話したことや質疑応答で答えた内容、企業の公式ルートで知った情報、公式ルートで出会ったOB・OGの人の話です。

 価値がある情報は、企業側から直接得られる一次情報にしかありません。

 ある企業説明会で、もったいないなと思ったことがあります。

 そこでは最後に、その場にいる社員を囲んで、誰でも質問ができる自由時間が設けられていました。そして、なんと、その業界内で知らない人がいない、あるビジネスモデルの立役者が一社員として参加していたのです。

 私は当然、学生はその人のもとに殺到するだろうと思っていました。ところが学生たちは、手伝いに来ていた一学年上の内定者の周りに輪をつくったのです。

 その企業に入りたいなら絶対に直接話を聞いておいて損はないスーパー社員には、誰も話を聞きに行こうとしませんでした。その人は暇そうにしていました。