ここまで混雑するのなら、最初から日暮里・舎人ライナーを輸送力の高い地下鉄として建設した方が良かったと思う人も多いだろう。しかし、なぜそうならなかったのか。それは、「ここまで乗客が増えるとは誰も想像していなかったから」。この路線は地下鉄7号線(現在の南北線)の延伸計画が、「地下鉄で建設するほどの需要がない」との理由で頓挫し、代わりに建設費用の安い新交通システムで建設された。
しかしその後、沿線にはマンションが立ち並び、開業当時には4.9万人だった1日の乗客数は9万人を越える。08年の開業当時には想像もつかなかった乗客増加が、日暮里・舎人ライナーの混雑率を押し上げている。
ただしこの路線は、昼間の乗客がまるでいない(朝の10分の1程度に激減)という弱点を抱える。さらに、建設費用や混雑対策の改修の返済が重く、年間約2億円の赤字を出している。毎朝大混雑していて利用者に優しくないし、経営的にも10年内に手元資金が尽きかねない状況で、東京都も頭が痛いことだろう。
混雑率2位は、広島電鉄2号線(宮島線)の東高須→広電西広島区間だった。ほとんどが広島市内の軌道線に乗り入れる路面電車仕様であり、1編成で150人と輸送力は小さい。一方で、ピーク時1時間の利用者数は22年度の3147人から、23年度には4194人へ急増。19年度(2287人)と比較すると倍増している。極端な乗客の増加が、22年度は全国7位だった混雑率を、一気に2位まで押し上げた。
広島電鉄では、23年10月に朝の市内線直通便を増便するなど混雑緩和の対策を行っている。混雑率の調査は10月から11月にかけて行われているので、今年の調査では増便の効果が出ているかが注目される。
3位の東京メトロ日比谷線(三ノ輪→入谷)は、コロナ禍前と比べて利用者が増加したことにより、22年度は12位だったがトップ3に躍り出た。この他、首都圏の詳細は「タイトル入れる」を確認してほしい。