福岡タワー,福岡市Photo:PIXTA

子育て世代の流入で人口が爆増中!
福岡市の貝塚線は混雑が悪化する可能性も

 コロナ禍後に混雑率の上位に定着した西日本鉄道の貝塚線は、22年度の全国2位から順位を下げて今回は6位だった。ただし、今後も混雑は継続もしくは悪化する可能性が高い。沿線人口が急増している割に、輸送能力が足りないからだ。

西鉄貝塚線はかつて「宮地岳線」として10km先の津屋崎駅まで運行していた。2007年に区間廃止西鉄貝塚線はかつて「宮地岳線」として10km先の津屋崎駅まで運行していた。2007年に区間廃止 Photo:PIXTA

 この路線は終点・貝塚駅で福岡市営地下鉄・箱崎線に乗り換え、福岡市内の二大拠点の一つ、天神エリアに行くことが出来る。貝塚線の沿線である福岡市東区、粕屋郡新宮町は、どちらも直近の5年間で最大20%以上の人口増加を記録している。特に大規模な再開発が進む千早駅の周辺では、近隣の小学校区の人口が20年間で倍以上に増えた。現在も九州最大級の分譲マンション「MJR千早ミッドスクエア」(全532戸)が建設中で、しばらく子育て世代の流入が続きそうだ。

 一方で、貝塚線は2両編成(定員248名)で、輸送力はピーク時1時間で1488人。接続する地下鉄箱崎線の輸送力(1万6200人、混雑率132%)の10分の1以下だ。ここに1時間2358人の乗客が押し寄せて、ほぼローカル線仕様の狭いホームで電車を待っている状態は非常に危険だと言える。

 ところが貝塚線は、全線が単線で、交換設備を全10駅中8駅に整備しており、増発などの対策をこれ以上打てそうにない。近年まで箱崎線との直通による輸送力向上を模索していたものの、約155億円の初期投資を回収できる見込みが立たず、実質上の計画棚上げとなっている。

 今後の目立った動きは、25年から西鉄・天神大牟田線の中古車両(7050形)の転属が始まり、少しだけ車両の定員が増えることくらい。貝塚線は多くの区間でJR鹿児島本線(香椎駅→博多駅間で混雑率102%)と並走しており、当面は大きな改善が図られる見込みがなさそうだ。