「もっと深い話が聞きたい」「新しい情報を引き出したい」とき、週刊誌記者が使う“ずるい聞き方”とは山田千穂さん(写真:渡辺利博)

 この言葉で一気に話が広がる人もいて、「彼女と愛犬と、船旅で世界一周して、海の上で死にたい」としんみりと話をされた方もいました。

 このように、仮説質問で視点をガラッと変えると、想像もしなかった話を聞けることもあるのです。

共通の悩みを話す

 前にも触れたように、会話のきっかけをつくる相手と自分の共通点は、趣味や好きな食べ物など比較的ポジティブな要素が多くなります。

 逆に、相手が問題を抱えているときは共通の悩みを打ち開けると、距離がぐっと近づくのを感じます。「この人ならわかり合えるかも……」と思ってくれるのかもしれません。

 女性誌の読者に介護の悩みについて取材したときも、こんなふうに切り出しました。

「もっと深い話が聞きたい」「新しい情報を引き出したい」とき、週刊誌記者が使う“ずるい聞き方”とは『ずるい聞き方 距離を一気に縮める109のコツ』
山田 千穂 (著)
定価1,760円
(朝日新聞出版)

「実は私の母も祖母の介護が大変で……」と話しはじめたら共感してくださって、お互いの悩みを相談し合うほど深い話をしてくれたのです。

 職場の人間関係、夫の浮気や離婚、子育て、ママ友関係など、仕事からプライベートの話まで、悩みがない人はいませんよね。

 もし自分が相手と同じ悩みを抱えていたら、思い切って話してみると、相手も誰かに聞いてほしかったことを話し始めるかもしれません。

 自嘲的に聞こえるかもしれませんが、「自分の人生はすべてネタ」だと私は思っています。相手が話しづらいことを聞かせていただくとき、相手だけに話していただくのをためらうようなとき、自分の悩みもどんどん開示してしまっています。

(編集協力/樺山美夏)

山田千穂
記者。埼玉県川口市出身。1988年生まれ。『週刊ポスト』『女性セブン』で記者を約10年経験。芸能、事件、健康等の記事を担当。取材で、聞く力、洞察力、コミュ力を磨く。3000人以上に取材。直撃取材、潜入取材を得意とする。 大学在学中は渋谷109で販売員としてアルバイトをし、お正月セール時には1日最高500万円を売り上げる。

AERA dot.より転載