「もっと深い話が聞きたい」「新しい情報を引き出したい」とき、週刊誌記者が使う“ずるい聞き方”とは山田千穂さん(写真:渡辺利博)

 渋谷109のカリスマ店員から有名週刊誌記者に転身。豊富な仕事経験から発見した聞き方のコツは109個!そんな山田千穂さん初の著書『ずるい聞き方』では、話を広げるために欠かせない聞き方や話し手と聞き手の距離をぐっと近づける方法など、具体的な「聞き方」のコツを紹介している。今回は、「もし」を活用したあざと質問で相手に一歩踏み込む技を公開する。

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質問には同じ質問を聞き返す

 こちらから話題を振ったわけでもないのに、相手のほうから何か質問されたら、自分にも同じことを聞いてほしい合図だと思ってほぼ間違いありません。

 そのときは、相手の欲求を満たすためにも、聞かれたことは必ず聞き返すようにしています。

 取材中に、こちらの質問に答えるより先に「最近、旅行しました?」と聞かれたら、旅行の話がしたいというサイン。そこで、「最近、近場には行きましたけど、◯◯さんはどちらか旅行されたんですか?」とすぐにバトンを返します。

 このケースは仕事やプライベートでも本当に多いので、聞かれたことには手短に答えて、すぐに聞き返す。このワザは常に意識しておきたいですね。

話を縦に掘り下げ、横に広げる

 相手の話の中に、キーワードとなる種を見つけたら、縦に掘り下げ、横に広げていくと話が展開していきます。

 たとえば、相手が「昨日買ったプリンが美味しかった」と話しはじめたら、「へぇ、そうだったんだ」と受け流すだけでは話が続きません。

 でもプリンを種に、「どんなプリンだったの?」「どこのお店で買った?」「甘め?それとも甘さ控えめ?」と縦に深く掘り下げて話を引き出すこともできます。

 あるいは、「プリンの他にも好きな甘いものはあるの?」「そのお店は誰かに教えてもらったの?」とプリンに関する他の質問をすると、話が横に広がっていきます。

 これは記者も編集者も自然にやっていることで、私が記者になりたての頃は、「この話は横じゃなくて縦に深掘りしてほしかった」と指摘されたこともありました。