30年で3000社の上場企業に対してコミュニケーションや英語をテーマにした研修を行ってきた安田正氏。その研修で使用しているプログラムを改良・応用して書き綴り、惜しげもなく公開したのが『武器になる話し方』だ。もったいない話し方のため、満足いく結果を得られなかったり、本来は得られるポジションにつけなかったり。本連載では、多くの方の話し方を改善してきた安田さんの「武器になる話し方」を、本書の内容から一部抜粋して紹介する。
いい質問とは、人に気づきを与える質問
この連載の第1回目では、「整理オウム返し」というテクニックを紹介しました。
話をよく聞いていますよというサインになり、相手と信頼関係を深めるために非常に効果的な技術です。
そして、ここではさらに、質問の仕方について紹介しましょう。
「どんな質問を」「どのようにするか」は聞き手の技量が表れる場面で、その聞き方さえよければ、相手はどんどんノッてくれて、有意義な話をしてくれます。会話の質が深まり、思いもしなかったいい情報が聞けたりするのです。
いい質問とは、話し手を「ハッ」とさせ、気づきを与えます。
このように言うと非常に高度なことをするのではないかと思われるかもしれませんが、やり方は実にシンプルです。
大きく型は2つあります。
・「今、売上予測には平日よりも土日の数字を追うとおっしゃいましたが、
具体的にはどういうことなのでしょうか?」
・「コスト管理が重要というお話でしたが、より具体的に言うと、
売上に対して何%程度のコストなら許容範囲だとお考えですか?」
・「私としては、モチベーションの下がっているスタッフへの接し方が特に難しい
と感じているのですが、ポイントはありますか?」
・「私も日々意識しているつもりではあるのですが、実践となると難しくて、
相手の表情を読むというのは、どこに注目するとわかりやすくなりますか?」
このように、話を要約しつつ、あるいは自分の意見を述べつつ、より具体性の高いことを質問してみてください。
すると、「このように熱心に聞いてくれている人は、このポイントが気になるのだな」と、話し手もハッとしながら、そしてノリながら質問に答えてくれるのです。
連載第1回目で紹介した「整理オウム返し」と同じように、特に専門性の高い分野や込み入った話題のときには効果的な方法です。講演会などでの質問にも適しているでしょう。
話し方
鋭い質問は、話の内容をさらに深める。
「要約質問」と「意見質問」を駆使しよう