「早くやらなければ!」とわかってるのに、ついつい先延ばしにしがちな「実家片づけ」。「実家片づけ」をしないまま親が認知症になったり亡くなったりすると、「お金」「時間」「労力」という負担が子ども世代にのしかかってくるので、「実家片づけ」は”親が元気なうちに”取り組むことが大切です。とはいえ、ほとんどの親は、最初は片づけることに反対し、親子喧嘩に発展することもしばしばです。乗り気じゃない親を説得し、実家の膨大なモノや書類を片づけ、親が最期まで楽しく安全に暮らせる家にどう変えていくか……。親子だからこそ難しい「実家片づけ」のポイントを解説した、片づけアドバイザー石阪京子氏の最新刊『「介護」「看取り」「相続」の不安が消える! 実家片づけ』から、そのテクニックを抜粋・編集してお伝えします。
片づけを「強要」することは結果的に遠回りになる
実家片づけをしたいのに、親が乗り気じゃなかったり反対してくると、ついつい強い言葉を放ってしまうことがあります。
代表的な言葉は、次の三つ。
・「(頭ごなしに)捨てて!」
・「こんなの、いらないでしょう」
・「なんでこんなことしてるの?」
実はこれ、全部私も父に言いました。「捨ててくれないと、お父さんが死んだ後、私が困るのよ!」とか、効率の悪い家事のやり方を見て「なんでこんなことしてるの?」とか。自分のやり方を押しつけたり、相手の考えを否定したりするような言葉をたくさん言ってしまいました。
当然ながら、こんなことを言ったら相手は怒ります。「うるさい! もう放っておいてくれ」と心を閉ざします。そのせいで、ずいぶん遠回りをしてしまったし、父の心も傷つけたと思います。
だから、読者の皆さんはそうならないために、こういう言葉が口から出そうになったら次の言葉を心の中で唱えて、ぐっとこらえてください。
「これを言ったら前に進まなくなる」
暴言を吐いたら、ことが前に進まなくなるのでこちらの負けです。実家片づけは、親がモノに対して抱えている執着をはがしていく作業でもあります。北風と太陽ではありませんが、ビューンと冷たい風を吹きつけたら相手はガードを固くするだけ。
だからそうではなくて、「うんうん、わかるよ。大丈夫だよ」と、太陽のような温もりで相手を包んでいくことが大切なのです。本書ではその具体的な方法も解説しております。
*本記事は、石阪京子さんの最新刊『「介護」「看取り」「相続」の不安が消える 実家片づけ』から、抜粋・編集したものです。