「早くやらなければ!」とわかってるのに、ついつい先延ばしにしがちな「実家片づけ」。「実家片づけ」をしないまま親が認知症になったり亡くなったりすると、「お金」「時間」「労力」という負担が子ども世代にのしかかってくるので、「実家片づけ」は“親が元気なうちに”取り組むことが大切です。とはいえ、ほとんどの親は、最初は片づけることに反対し、親子喧嘩に発展することもしばしばです。乗り気じゃない親を説得し、実家の膨大なモノや書類を片づけ、親が最期まで楽しく安全に暮らせる家にどう変えていくか……。親子だからこそ難しい「実家片づけ」のポイントを解説した、片づけアドバイザー石阪京子氏の最新刊『介護」「看取り」「相続」の不安が消える! 実家片づけ』から、そのテクニックを抜粋・編集してお伝えします。
「実家片づけ」を甘く見ていると大変な目に遭う
「いざとなったときに頑張ればなんとかなるだろう」。そんなふうに実家片づけを甘く見ていると大変な目に遭います。
なぜなら、自宅と実家の片づけは、似て非なるものだから。
まず、実家はとにかくモノが多いです。
親世代はもったいない精神が強いので、ほとんどモノを捨てません。しかも、生きている時間が長いからモノは増える一方。地方だと家が広いことも多いので、置ける場所がある限りどんどんモノを蓄えていきます。
そのうえ、ゴミの捨て方は自治体によって異なるため、簡単に廃棄できません。
「私が死んだら全部捨てていいから」と言って片づけを拒む親御さんもいらっしゃいます。
でも、1度に捨てること自体が大変なのです。ゴミの処分コストも上がっています。
さらに、要・不要の判断を自分(=子ども)が下せないというのも、厄介です。自分のモノなら判断基準があるのでサクサク作業を進められますが、実家にあるのは親のモノ。そのため、基本的には一つずつ「これはいる? いらない?」と聞いていかなくてはなりません。こんなに手間暇かかることを、忙しい時間をぬって実家へ赴き、取り組んでいかなくてはいけないのです。
大変そうで無理だと思ったかもしれません。
でも、例えば親の死後、相続税の期限である10か月以内に、実家片づけをしなくてはいけなくなったら、もっと大変です。自分のペースでコツコツ進めることができないし、聞く人もいない。さらに、そこに子どもの受験や、仕事を休めない事態が加わったとしたら? おそらく生活が破綻してしまうでしょう。
トラブルはいつ、同時進行で襲ってくるかわかりません。だからこそ、自分でハンドリングができる今のうちに、コツコツ進めていくことが大切なのです。
*本記事は、石阪京子さんの最新刊『「介護」「看取り」「相続」の不安が消える 実家片づけ』から、抜粋・編集したものです。