「早くやらなければ!」とわかってるのに、ついつい先延ばしにしがちな「実家片づけ」。「実家片づけ」をしないまま親が認知症になったり亡くなったりすると、「お金」「時間」「労力」という負担が子ども世代にのしかかってくるので、「実家片づけ」は”親が元気なうちに”取り組むことが大切です。とはいえ、ほとんどの親は、最初は片づけることに反対し、親子喧嘩に発展することもしばしばです。乗り気じゃない親を説得し、実家の膨大なモノや書類を片づけ、親が最期まで楽しく安全に暮らせる家にどう変えていくか……。親子だからこそ難しい「実家片づけ」のポイントを解説した、片づけアドバイザー石阪京子氏の最新刊『「介護」「看取り」「相続」の不安が消える! 実家片づけ』から、そのテクニックを抜粋・編集してお伝えします。

【要注意!】実家の「元・子ども部屋」がそのまま物置になっていない?Photo: Adobe Stock

昔のままの間取りでは、今の生活にマッチしない部分が出てくる

実家に自分がいたときの子ども部屋がまだそのまま残されており、しかも物置部屋になっているという方は驚くほど多いです。
子どもが家を出ていったときの状態のまま、30年も40年もそのままになっている家もあります。

実家片づけというと、「終活」を思い浮かべて寂しい気持ちになる親御さんもいるかもしれません。でも、本来、実家片づけは、暮らしを再構築するためのものです。子どもがいた頃の部屋がそのまま残されていたり、若い頃の間取りのままだと、どうしても今の生活にはマッチしない部分が出てきます。過去のモノに空間を圧迫されて、未来を楽しむための余白がありません。

だから、片づけて、風穴を開けて、暮らしを再構築するのです。そうすれば、親御さんも新しい思い出をまだまだたくさん作って、さらに充実した人生を送ることができます。
まずは、自分が済んでいた頃の子ども部屋から、自分の荷物だけでも、持ち帰ったり処分したりすると、親御さんも暮らしを再構築しようというきっかけになるかもしれませんね。

たとえば80代のDさんは家を片づけていたらギターが出てきて、「そうそう、私、昔ギターが好きだったのよ」と、片づいたリビングで趣味に挑戦する意欲もわいてきました。
散らかった部屋では、とてもそんな気は起こらなかったのではないでしょうか。

終活ではなく楽しい未来を送るために「実家片づけ」をしてもらう

片づけをすると、どんな楽しい未来が待っているのか。その具体的なイメージを伝えることは親の片づけスイッチをオンにする有効な手段です。

例えば、Cさんの実家はゴミ屋敷でした。モノが多くて危ないし、ホコリがすごいしトイレも汚い。Cさんは独身ですが、お兄さんは結婚して子どもがいました。けれども、そんな実家にお兄さんが初孫を連れて行くことはありません。ご両親がどんなに頼んでも、「危ないから無理」と断固拒否。当然ですよね。

そこで、両者を憂いたCさんが実家片づけを決意。腰が重かったご両親も、お兄さんの「片づいたら孫を連れてくるよ」という言葉に心を動かされ、最後までやり切ることができました。

幸せな未来を想像させるというのは、親の片づけスイッチをオンにする最大のポイントです。

*本記事は、石阪京子さんの最新刊『「介護」「看取り」「相続」の不安が消える 実家片づけ』から、抜粋・編集したものです。