「あなたは、行きたい大学に行きたいですか? 行ける大学に行きたいですか?」
小倉優子さんへの受験サポートで注目を集め、近著『「思考」が整う東大ノート。』も話題の西岡壱誠さんは、講演会で高校生にこの質問をすると言います。
本記事では、西岡さんに「最近の学生の特徴とうまくいく大学選び」について、話を聞きました。

ベストセラー東大生が語る「行ける大学を目指す」と起こる問題Photo: Adobe Stock

“行きたい大学”と“行ける大学”
どちらを目指すべき?

「みなさんは、行きたい大学に行きたいですか? 行ける大学に行きたいですか?」

 僕は全国100校以上の学校で、年間1000回以上の講演会・ワークショップを実施している東大生団体を率いています。そして、そんな僕がいろんな高校生に対して聞く質問が、先ほどの「行きたい大学に行きたいか、行ける大学に行きたいか」です。この2つの違いは、次のとおりです。

行きたい大学今の自分の実力から考えると合格できるかどうかはわからないが、今から「少し」または「けっこう」頑張ったら行けるような大学。または、自分の実力や行ける可能性を度外視して、自分が心の底から「この大学で勉強できたら楽しいだろうな」と思うような大学。
行ける大学今の自分の実力から考えると合格できる可能性が高く、今からあまり努力しなくても行ける可能性が80%以上だろうと思う大学。(この場合、自分が行きたいと考えているかどうかは考えていない)

うまくいく大学選びとは?

 今、多くの学生は「行ける大学」を目指しています。

「自分でも行ける大学ってどこですか?」と聞いてきたり、「自分に合った大学ってどこだろう?」と考えて、「背伸び」をして大学を選ぼうという気概がそこまで高くない場合が多いです。今の実力であれば行けるような大学に行くという選択をする人が多いです。

 でも、それって実はもったいないことだと思うんですよね。もちろん、自分で道を切り拓かないで、先生や親、まわりの人や環境に流されて、「行ける大学」に進む生き方も可能です。

 しかし、もしその先で待っていた景色が自分の考えていたものとは違ったとしても、みなさんはその環境に対して文句を言うことはできません。

 大学に入ってから、または就職してから、「なんか自分の思い描いていた場所と違うな」「自分には合っていないんじゃないか」と言っても、まわりの人が助けてくれるわけではありません。

 みんなが「ここに行きたい!」と選択した結果として多くの人から選ばれたような大学は、当然ながら、人気になってしまいます。人気ということは、倍率が高く、他の「その大学に行きたい受験生」たちよりも頑張らなければ合格できなくなってしまいます。

 だからこそ、行きたい大学に行くためには、努力をしなければなりません。でもその努力の過程で、頑張って、苦しんで、辛い思いをしながら努力を重ねる経験は、自分のことを大きく成長させてくれるのではないでしょうか。