日本に対して良い印象を持って
帰ってもらうことが最大の使命

 私は日本在住期間が長いですが、日本文化に関してより注目するようになったのは外交官の仕事に就いてからです。ジョージアから要人が来た際に、滞在時間が限られているなかで楽しんでいただき、日本に対して最大の良い印象を持って帰路についてもらうことが、私の外交官としてのミッションだからです。

 もちろん、私と結婚するまではジョージアでずっと暮らしてきた妻や、日本で生まれ育った子供たちに楽しんでもらい、日本を知ってもらいたいという思いもあります。

 ジョージアの要人に短い滞在時間で日本を最大限に味わっていただくためには、私自身がさまざまな知識、そして見どころを知っておかなければいけません。

 私のおもてなし次第で、要人からの私への評価が決まるだけでなく、日本という国に対しての印象も変わります。日本に対して良い印象を持つ要職のジョージア人が増えれば、日本人のほうも「ジョージアの人たちは日本を大事に思ってくれている」と感じてくれるでしょう。それは今後の日本とジョージアの関係発展につながります。

 私がX(旧ツイッター)でよくフォロワーのみなさんに「○○県の見どころやおすすめの食べものを教えてください」とおたずねしているのは、フォロワーの方々と交流したいという気持ちもありますが、切実にその情報を求めているからでもあります。

 ただ、そうやって日本各地の魅力的な場所や行事、食べものの知見を日々深めているにもかかわらず、残念なことにジョージアから政治家や官僚、企業家、スポーツ選手などが来日する期間はたいてい1日か2日なのです。私はそのなかで相手とすばやく関係を築き、どこにお連れして、何を見てもらえばいいかを常に考えています。たとえば「この日はちょうど○○区で花火大会がやっている。用事が終わる予定はどこどこで○時だから、それから移動すれば十分間に合う」といったように。

 ここで、大使として要人対応をするときの、私なりのコツや心がけていることをご紹介しましょう。