海外旅行ガイドブックの決定版『地球の歩き方』から、今回紹介する記事は「訪日観光のプロが〈日本庭園・伝統工芸〉の魅力を伝授!」です。数々の訪日外国人からの質問にこたえ、日本をより深く楽しんでもらうためのお手伝いをしてきたインバウンドガイドが、「シェアしたくなる“日本の魅力”」を紹介! 前半の記事では、「日本食」と「建築」をテーマに、海外の文化と比較しながらそのユニーク性をお伝えしましたが、後半の記事では、「庭園」と「伝統工芸」をテーマに「日本の魅力」に迫っていきたいと思います。(文/蜂谷翔音、松本まさ 写真/istock)
日本の魅力(3)
「庭園」~日本の庭園~
日本と西洋の「庭園」の大きな違いを知っていますか?
それは、庭園の造りが「シンメトリー(対称性)」であるか「アシンメトリー(非対称性)」であるかです。
この違いには、日本と西洋の「自然に対する考え方・捉え方」が関係しています。日本では、古くから水に恵まれており、東洋思想の影響も相まって「自然と調和する思想」が根付いています。そのため、日本庭園でも「自然との調和」が表現され、庭園の造りはアシンメトリーになっています。自然と人工物の境目を曖昧にし、曲線を多く用いるのが特徴です。また、水がない庭園にも砂利に線を描くことで水の流れを表現する「枯山水」という技法があり、「水」がキーワードとなっていることがわかります。