ジョージアの要人たちは
みんな豊洲を知っている

 日本のいいところは、現地・現場の対応が非常に丁寧で細やかなことです。外国から来ているお客様であるとわかると特に心を添えて対応してくださることが多く、ジョージアからの要人もそれに満足して帰ります。読者の中には海外旅行の経験のある方もいらっしゃると思いますが、トラブルが起こって当たり前、声を荒げて交渉しないと満足するクオリティのサービスが得られない、といった国も残念ながらありますよね。でも日本にはおもてなしの文化があるので、あらゆる意味で信頼感があり、スケジュールを組むこちらとしても安心できます。

 東京では、要人を明治神宮や豊洲市場によくお連れします。ジョージア人も日本人同様に歴史が好きですし、日本は長いあいだ鎖国をした国、自分たちの文化をずっと継承してきた国というイメージがあり、歴史や伝統に関心が高いのです。

 それから日本には世界最大の魚市場がある魚の国というイメージもありますから、豊洲のことはみんな知っています。大統領や大臣もお連れしましたが、喜んでいただけました。ジョージアも一昔前よりは食の多様化が進んでいて、生の魚も食べられる人が増えています。最近ではみんなお寿司も食べます。

ジョージア大統領が日本で訪れた意外な場所、駐日大使「みんな知っています。喜んでいただけました」『日本再発見』(ティムラズ・レジャバ、講談社)

 豊洲には卸売のお店もあって、そこでもともと築地にあった老舗の包丁店で包丁を買って首相にプレゼントしたこともあります。日本には刀のイメージもありますからね。

 先ほど述べた通り、要人が来ると刀や盆栽、犬を買っていくことがしばしばあります。どれも急に入手するのが難しいだけでなく、法律上の特別な許可や国外への輸送に関する知識やコネクションが必要ですから、あれこれ手を尽くして手配する経験をたくさんしてきました。

 いつも心残りなのは、スケジュールの都合上、東京以外の土地を案内するのが難しいことです。本当であればお祭りや花火大会、お茶会、地方の名所や史跡も見てほしいのですが、それはなかなか叶いません。