雇用悪化などでダウ平均株価急落
“景気軟着陸”目前に脆弱性露呈
ニューヨーク株式市場は、8月に入りダウ平均株価(30種)が急落、1日、2日で計1100ドル値下がりする急落となった。
米株価下落はその後も続き、日本銀行が追加利上げを決め円高が進んだこともあって、東京株式市場にも波及。5日には日経平均株価は過去最大の暴落となった。
ダウ平均株価は7月中旬ごろから半導体関連などで調整が起きていたが、8月2日に発表された7月雇用統計で非農業部門雇用者数が市場予想を大きく下回り、製造業景況感指数なども下落したことが急落の引き金になった。
ほんの少し前までは、米国経済は高金利という逆風の中でも確かな足取りを保ってきた。支柱である個人消費が大きく崩れることはなく、2024年4~6月期の実質GDPも前期比年率+2.8%と堅調だった。その中でも、コアPCEデフレーターは24年6月時点で前年比+2.6%まで低下し、FRBが目標とする2%を目前にしている。景気のソフトランディングが現実味を帯びていた。
一見すると米国経済に死角はないようにもみえるが、ひと握りの大手テック企業に富が偏在し、大企業と中小企業、高所得層と低所得層の間で強弱が分かれる「二極化」が進行している。
株価急落は二極化経済の脆弱性を露呈した可能性がある。