「好きなことを仕事にしたい」若者に喝!経営の神様のツッコミが正論すぎて、ぐうの音も出なかったPhoto:EPA=JIJI

「好きなことを仕事にしたい」。そう願う若者は少なくない。「経営の神様」稲盛和夫氏が、大ヒット作家・百田尚樹氏との対談で語った言葉とは?(イトモス研究所所長 小倉健一)

稲盛和夫と百田尚樹が対談で語ったこと

「自分が好きな仕事に就けるのは非常にまれなことなんです」

 京セラやKDDIを創業し、破綻した日本航空(JAL)を再建した「経営の神様」稲盛和夫氏は、雑誌『ダ・ヴィンチ』(2013年10月号)での作家・百田尚樹氏との対談でこう述べている。

「私は終戦のときに13歳でした。父は鹿児島市で印刷屋をやっていましたが、空襲で全焼してしまいました。幸い、両親はじめ家族は全員無事で、とにかく生きていくために何でもやりました。私も父と焼酎をつくって闇市に売りにいったりしたことがあります」

「家族を失った戦災孤児がたくさんいました。彼らは焼け野原でかっぱらいをして生きている。私と同じ年代なのに、たった一人で生きている。その姿を見て胸が痛くなりました。それと同時に、生きていくため、食べていくためのバイタリテイにはすさまじいものがありました。日本中の人びとが、生きていくために必死で働いた。それが復興につながったのです」(ダ・ヴィンチ)

 近年では、自分のやりたいこと、自分の興味の延長で仕事を選ぶ人が少なくない。

 人手不足で、どの企業も土下座せんばかりの勢いで採用活動をしている。就職希望者にとってみれば選び放題である。よほどお金に困っている人でもない限り、キャリアを選ぶうえで楽しさや充実感は大きな基準になっているのではないだろうか。