2017年の発売以降、今でも多くの人に読まれ続けている『ありがとうの魔法』。本書は、小林正観さんの40年間に及ぶ研究のなかで、いちばん伝えたかったことをまとめた「ベスト・メッセージ集」だ。あらゆる悩みを解決する「ありがとう」の秘訣が1冊にまとめられていて、読者からの大きな反響を呼んでいる。この連載では、本書のエッセンスの一部をお伝えしていく。

ありがとうの魔法Photo: Adobe Stock

「働く」とは、まわりの人(はた)をラクにすること

「働く」という言葉の反対語は、私の考えたところによると「はた迷惑」です。

「はた」というのは、まわり、「自分の周辺にいる人」のことです。その人に迷惑をかけることを「はた迷惑」といいます。

 その反対に、まわりの人(はた)をラクにすることを「はた」「らく」(=働く)といいます。

「働く」を英語で表現すると「Work」ですが、「Work」には、「まわりの人をラクにする」という概念はないようです。

 汗を流すこと、努力すること、勉強をしたりすることも「Work」に含まれますが、日本語では「部屋の中で勉強すること」を「働く」とは表現しないでしょう。

「働く」とは、常に喜ばれる存在でいることであり、「自分以外の人に対して、喜びを与える」ことを「働く」と称します。

「働く」には、「まわりの人をラクにする」「喜ばれることをする」という概念がありますが、「Work」にはありません。日本語のほうが、人間の生き方の根源を物語っているような気がします。

「Work」の反対語は「Play」です。「Play」は、テニスをしたり、ゴルフをしたり、スキューバダイビングをするなど、道具を使って積極的に楽しむことです。

「Play」を日本語で言い換えると「遊ぶ」ですが、日本語の「遊ぶ」には、「何もしない」という意味もあります。

「今、不況なので、会社の機械が遊んでいる」「車のブレーキを踏むと遊びが2cmほどある」といったように、何もしないことや何もしない部分のことを「遊び」と言うことがあります。

 私たちは、働くことで報酬を得ますが、本来、「働く」という言葉には「お金を得る」「報酬を得る」という意味はないようです。

 同じように「仕事」という言葉にも、「お金を得る」「報酬を得る」という意味はありません。

「仕事」は「事(こと)にお仕えする」と書きます。つまり、「喜ばれる存在になることに、わが身をお仕えすること」です。

 今までの私たちは、「人の上に立ちなさい」「抜きん出なさい」「人よりもたくさんの給料をもらいなさい」という概念を埋め込まれてきました。

 しかし、人間の仕事の本質は、「お金を稼ぐこと」ではなくて、「自分がいかに喜ばれる存在になるか」「たくさん頼まれごとが来る人になるか」ということのようです。

「どうやったら儲かるか」を考えるのではなく、「どうしたら喜んでもらえるか」「どうしたらお客様に『嬉しい、楽しい、幸せ』と言ってもらえるか」だけを考える。

 あなたが「頼まれごとをする人(=喜ばれる存在)」であり続ける限り、商売は栄えていくらしいのです。