スマホを持った女性写真はイメージです Photo:PIXTA

なぜ人は不倫をするのか、なぜ「されて」しまうのか――。夫の不倫で離婚に到った女性心理学者が自身の経験を踏まえて赤裸々に書いた「男と女の性」。スウェーデンで国際的ベストセラーとなった心理学者が導き出した、パートナーシップの本質とは。本稿は、アンジェラ・アオラ著、安達七佳訳『不倫の心理学』(新潮社)の一部を抜粋・編集したものです。

思わず背筋が凍った
浮気相手のプロフ写真

 私が離婚調停中だった当時、様々な不確定要素が重く感じられた。月日は流れても、何が起こったのか夫から具体的な答えは得られなかった。夫の不倫の経緯について推論や見解を組み立てなければいけない気がする一方、全体を理解することがなぜそんなに重要なのかとも思った。夫と私は出会い、結婚し、2人の子供をもうけ、一緒に暮らし、別れたのだと受け入れることはできないのか?夫は別の人と出会い、交際を始め、今はその人との人生を送っている、以上!と。

 もちろん、それが現実だと理解はしていた。だがどうして夫がこっちからあっちへとあんなに平気で相手を替えられるのか理解できなかった。そんな中インスタグラムで彼女を見つけたのは偶然だった。SNSで私の一挙手一投足を追っている女性がいた。彼女のプロフィール写真が目を引くものでなかったら、おそらく反応しなかっただろうが、アカウントをクリックしてみたのだ。

 ゴクリと唾を飲んだ。そんなはずはなかった。

 プロフィール写真に私の夫との写真が使われていた。キスする2人。夫とのツーショット。次から次へと出てくる。太陽の下で、公園のベンチで、ベッドで、ディナーで、ピクニックで。そして明らかにカメラマンが撮影したであろう2人、彼女の子供たち2人との写真。おそらく大きなパーティーでの写真だろう。幸せな家族のように見える。

 母と父に2人の子供たち。私の夫はまるで父親のようだった。背筋が凍った。

 確かに私たちの夫婦関係は終わっていて、彼に別の相手がいることも知っていたけれど、写真は私が気づくずっと前からアップされていた。プロフィールも誰でも見られるように公開されていた。写真のスクリーンショットをとり、夫にメールした。

「なに考えてるの?」と苛立ちながら尋ねた。

 長女が発見するかもしれないことを夫はどう考えていたのだろう?誰とキスしているか、娘に訊かれたら何と答えるつもりだったのだろう?