米電気自動車(EV)大手テスラは最新鋭の運転支援機能を中国で提供できず、競合する中国EVメーカーに後れを取っている。テスラは、米国以外で最大の市場である中国で、運転支援ソフトウエア「オートパイロット」の改良バージョン「フルセルフドライビング(FSD)」を利用できるようにしたいと考えている。これを使えば、車は事実上、出発地点から目的地まで人の介入なしに走ることが可能だ。ただ、ドライバーは常時警戒を怠らないよう求められる。同社のイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は7月、米国で使用が認められているFSDについて、中国当局は今年末までに承認するとの見通しを示した。テスラの運転支援機能が絡む米国での事故やデータのセキュリティーへの懸念がある中で、中国政府はテスラの最新運転技術をまだ承認していないと、当局の考えをよく知る人々は語った。同社は、人工知能(AI)運転モデルの訓練のために、中国のテスラ車オーナーから収集した運転データを米国にあるコンピューターに移すことについても許可を得ていない。テスラに近い人々によると、許可を得られる見通しが不透明なため、同社は中国でのコンピューターへの追加投資を検討しているという。