ビジネスパーソンに必須!経済&ビジネスの最重要キーワードPhoto:AFP=JIJI

日本銀行はインフレ目標を2%としている。生鮮食品を除く総合消費者物価の上昇率は2025年12月時点までで45カ月連続2%以上で推移している。家計からは物価高に対する悲鳴も上がっている。しかし、日銀は「基調的な物価上昇率は2%に届いていない」との立場を崩さない。なぜ“物価高の実感”と“金融政策の判断”は食い違うのか。連載『ビジネスパーソンに必須!経済&ビジネスの最重要キーワード』の今回のキーワードは「インフレ目標」。食料価格、食料・エネルギーを除いた物価、サービス価格を取り上げ、矛盾の正体を追う。(ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)

物価高への家計の悲鳴と
2%目標に達していないという日銀

 今回のキーワードは「インフレ目標」です。

 2026年2月8日投開票の衆議院総選挙では、各党が競って前面に掲げたのは消費税減税でした。物価高対策、つまりインフレへの対策として「物価を下げるために消費税率を下げる」という主張です。

 インフレはインフレーションの略語で、物価が上昇している状態を指します。現在、物価動向を判断する基本的な指標であり報道などでもよく目にする、「生鮮食品を除く消費者物価指数(CPI)」の前年同月比の上昇率は、直近(25年12月)で2%台半ばの水準にあります。

 一方、バブル崩壊後、長年にわたって日本経済はデフレ(インフレの反対語、デフレーションの略、物価下落)に苦しんできました。デフレ下では、待っていれば物価が下がると消費者が考えるため、消費が増えにくくなります。企業も価格を抑制することを優先し、コスト削減に目がいきがちになります。これは経済にとってマイナスです。

 そこで、物価上昇率をある程度プラスの状態にするために、物価上昇率に目標を設けようということになります。日本銀行は政府と13年1月22日に共同声明(いわゆるアコード)を結び、上昇率2%を目標と定めました。

 アコードが結ばれる前は、生鮮食品を除く消費者物価上昇率がマイナスに沈む局面もありました。その後はプラスになりましたが、消費税率引き上げ(14年4月、19年10月)の影響が大きかった時期を除けば、22年春ごろまで2%を明確に超える局面は限られていました。

 その後、新型コロナウイルス感染拡大後の経済の回復過程で高進した世界的インフレや、円安による輸入物価上昇を契機として2%を超え、時には4%を超えることもありました。そして現在のインフレ率は目標の2%を、長期にわたり上回っています(足元では2%からの上振れ幅は1%前後)。

 その状況に消費者からは物価高の悲鳴が上がっているわけですが、日銀はなお、「上昇がまだ足りない」とばかりに、基調的な物価動向で見て2%目標は十分に達成されていないという立場を取っています。

 一見すると矛盾しているように思えます。次ページでは、消費者物価の中身を検証し、矛盾しているように思える状態になっているのはなぜなのかをひもといていきます。