「感情を爆発させずに生きるために必要なことがあります」
そう語るのは、これまでネット上で若者を中心に1万人以上の悩みを解決してきた精神科医・いっちー氏だ。「モヤモヤがなくなった」「イライラの対処法がわかった」など、感情のコントロール方法をまとめた『頭んなか「メンヘラなとき」があります。』では、どうすればめんどくさい自分を変えられるかを詳しく説明している。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、考え方次第でラクになれる方法を解説する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)
抑え込んでいませんか?
「気づいたらまた自分の感情を抑え込んでる!」
そんなふうに感じることってありませんか?
誰かに嫌なことを言われたときも、腹が立っても、「まぁ、いいか……」とついつい抑え込んでしまう、事なかれ主義なんて言われたりする。
争いを避けるやさしい気持ちってステキですけど、ガマンのしすぎってあまりよくないんです。
今回は、感情を抑えることのデメリットと、どうすれば感情をうまく表現できるのかについて、楽しくお話ししましょう。
感情を抑えるデメリット
1「ストレス爆弾が爆発するかも?」
感情を抑えることって、いわば「ストレス爆弾」を体内に貯めているようなものです。
ある研究によると、感情を抑え込むことで、人間の感じるストレスが増えてしまうことがわかっています。
つまり、「怒らない、泣かない!」と、自分の感情を抑えて頑張っていると、ある日突然、バーン!と感情が爆発してしまう可能性が……。それ、ちょっと怖くないですか?
感情を抑えるデメリット
2「体も悲鳴を上げてしまう!」
「大人なんだから、感情くらい自分でなんとかしろよ」と思うかもしれませんが、これがまた体にも悪い影響を及ぼしてしまうこともあります。
感情を抑えることでストレスが高まり、メンタルヘルスを悪化させてしまいます。
さらに、感情をため込むと血圧も上がりやすくなり、心臓にも負担がかかるとか……。
止まらない頭痛や胃痛も起こるようになって、要するに、身体のほうが「もう勘弁して!」と叫びたくなっちゃうんですね。
感情を抑えるデメリット
3「人間関係でトラブルになるかも?」
いつも感情を抑えてばかりいると、友達や家族であっても本音で話すのが難しくなってしまうことがわかっています。
感情をいつも抑えてばかりいると、「なんだか、あの人冷たいな」と思われたり、他人とのつながりが薄くなる傾向が明らかになっています。
感情を抑えてばかりだと、なかなか周りに馴染めないまま、ガマンのせいでかえって人間関係を悪化させることにもつながるのです。
このほかにも、感情を抑えることにはさまざまなデメリットがあります。
人間という生き物は、ずっとガマンを続けることはできないものです。
そんな感情を抑えすぎず、適度に付き合っていくにはどうすればいいんでしょう?
感情を抑えないためステップ
1「自分の感情に、こんにちは!」
まずは、自分がどんな感情を感じているのかに気づくことが大切です。「あ、今自分、ちょっとムカついてるな」とか「なんか寂しいなぁ」って気づくだけでもOK。
感情に「こんにちは!」してみるんです。
感情を抑圧することが癖になっている人ほど、自分の感情を無視することに慣れすぎて、自分でも気づけなくなってしまいます。
感情を自覚するだけでもストレスを減らす効果があると言われるので、否定せずにまずは受け止めるようにしてみましょう。
感情を抑えないためステップ
2「感情を言葉にしよう!」
感情を感じることができたら、それを言葉にしてみる練習をしてみましょう。
「今、ちょっとイライラしてるかも」とか「ちょっと落ち込んでるんだよね」と正直に「口に出して」言ってみるだけでも、かなり心が軽くなります。
さらに、書いたり、歌ったりと自分の感情をより強く実感するともっと効果的でしょう。
感情を抑えないためステップ
3「感情を感じてリラックス!」
そんな自覚した感情は、ため込まない、否定しないためにリラックスすることが大事です。
深呼吸したり、ヨガをしたり、好きな音楽を聴いたりと、感情に寄り添いリラックスする時間を作ってみましょう。
リラックスすることで、さらに感情も素直に出しやすくなるんです。
実際、リラクゼーションが感情の解放に役立つという報告もあるんですよ。
以上、感情を抑えたままの生活は、その場ではラクかもしれませんが、長い目で見ると心にも体にもあまり良くないのです。
だからこそ、ちょっとずつでも自分の感情に正直になって、それを表現する方法を見つけていきましょう。
感情をためこまずに、素直に、楽しく、自分らしく生きるために、今日からちょっとずつ変えてみませんか?
(本稿は、『頭んなか「メンヘラなとき」があります。』の著者・精神科医いっちー氏が特別に書き下ろしたものです。)
精神科医いっちー
本名:一林大基(いちばやし・たいき)
世界初のバーチャル精神科医として活動する精神科医
1987年生まれ。昭和大学附属烏山病院精神科救急病棟にて勤務、論文を多数執筆する。SNSで情報発信をおこないながら「質問箱」にて1万件を超える質問に答え、総フォロワー数は6万人を超える。「少し病んでいるけれど誰にも相談できない」という悩みをメインに、特にSNSをよく利用する多感な時期の10~20代の若者への情報発信と支援をおこなうことで、多くの反響を得ている。「AERA」への取材に協力やNHKの番組出演などもある。