「メールやLINEが苦手な人には特徴があります」
そう語るのは、これまでネット上で若者を中心に1万人以上の悩みを解決してきた精神科医・いっちー氏だ。「モヤモヤがなくなった」「イライラの対処法がわかった」など、感情のコントロール方法をまとめた『頭んなか「メンヘラなとき」があります。』では、どうすればめんどくさい自分を変えられるかを詳しく説明している。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、考え方次第でラクになれる方法を解説する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)
文章が苦手な人
「メール」や「LINE」は、今や私たちの生活の一部です。
しかし、そんなツールをとにかく苦手とする人も多いです。
「ただのめんどくさがり」と片づけられがちですが、じつはそれだけではなく「文章でのやりとりが苦手」という独特な苦手意識が影響している場合があります。
今回は、そんな「メール」や「LINE」が苦手な人たちの特徴を共有したいと思います。
1「完璧主義」
メールやLINEを送るとき、内容を何度も見直してしまう、いわゆる「完璧主義」の人では文章をなんども繰り返し確認してしまうため、苦手と感じてしまう場合があります。
社会心理学の研究によると、完璧主義は不安やストレスの要因になることがあるとされています。
誤解を招かないように言葉を慎重に選びすぎるあまり、返信が遅れてしまって、かえってコミュニケーションがうまく行かず、苦手意識が強くなってしまうこともあります。
2「文章への抵抗感が強い」
「この文章で誤解を与えないかな?」「間違って伝わったらどうしよう」と文章でのコミュニケーションに抵抗を感じる場合もあります。
対面でのコミュニケーションとは異なり、テキストだけでは感情が伝わりにくいと感じる場合も多く、表情が見えない、相手のリアクションがわからないことなどに不安を感じ、返信をためらわせることがあります。
3「優先順位をつけられない」
メールやLINEなど、文章のコミュニケーションだから「後でいいや」と考えやすい人も苦手意識を抱きやすいです。
このような特徴の人では、リアルタイムで行う対面の会話や、緊急性のある他のタスクの方を優先してしまうため、ついつい文章のコミュニケーションは遅れがちになってしまいます。
そんななか急ぎの返信を求めるような内容でも「メールだから後でもいいや」と考えて返信が後回しになり、大きな失敗を経験してしまうことがあります。
4「マルチタスクが苦手」
「メールの返信をいつしようと考えて、ついつい焦ってしまう」というのがこのパターンです。
最近の研究ではマルチタスキングが生産性を下げることが指摘されており、返信に集中できるまでメッセージを頭のなかで保留しつづけて、ついつい他の大事な仕事にも身が入らなくなってしまうことがあります。
5「文章力に心配がある」
人間のコミュニケーションは言葉だけでおこなうものではありません。表情や声色、その場の空気を感じながら話すことに長けている人が、同様のコミュニケーション能力を文章で発揮できるとは限りません。
自分の意見や考えを文章で表現するのが苦手な人もいて、自己主張が苦手な人ほどテキストコミュニケーションを避ける傾向があるともされています。
自分の文章力を気にするひとは文章のコミュニケーションにも抵抗感があるでしょう。
コミュニケーションは「人それぞれ」
メールやLINEが苦手な人には、それぞれの理由があります。
メールもLINEもあくまでコミュニケーションのためのツールのひとつですが、そんなツールも人によってはストレス要因になり得るのです。
最近では電話が苦手、という人も増えていますが、同様に「文章が苦手」と感じる人もいます。
コミュニケーション方法は人それぞれ、好き嫌いにも個人差があるので、自分が何が得意なのか、メタ的に把握しておくことでコミュニケーションのストレスも軽減できるのです。
(本稿は、『頭んなか「メンヘラなとき」があります。』の著者・精神科医いっちー氏が特別に書き下ろしたものです。)
精神科医いっちー
本名:一林大基(いちばやし・たいき)
世界初のバーチャル精神科医として活動する精神科医
1987年生まれ。昭和大学附属烏山病院精神科救急病棟にて勤務、論文を多数執筆する。SNSで情報発信をおこないながら「質問箱」にて1万件を超える質問に答え、総フォロワー数は6万人を超える。「少し病んでいるけれど誰にも相談できない」という悩みをメインに、特にSNSをよく利用する多感な時期の10~20代の若者への情報発信と支援をおこなうことで、多くの反響を得ている。「AERA」への取材に協力やNHKの番組出演などもある。