ハイパフォーマンスの状態を維持し続けるより重要なこと

サラタメ:期待値コントロール」を意識できるといいと思います。

「デキる人」=「常にパフォーマンスの高い状態を維持し続けている人」と思われがちですが、実はそうではなく、「常に期待値を上回った成果を出している『ように見える』人」なんですよね。

――「ように見える」という部分が重要なのでしょうか。

サラタメ:もちろん、きちんと仕事をするのも重要ですが、やっぱり、ずっと自分の実力以上の、ハイパフォーマンスの状態を維持し続けるって、難しいんですよ。

 短期的にはできても、どこかで息切れするタイミングがくる。

 無理して頑張りすぎると、それこそ心が折れてしまい、情緒不安定に見えてしまうリスクもある。

 そうではなく、頼んできた人の期待値さえ超えられていれば、安定感がある「ように見える」んですよ。

 これは、決して実力以上の努力はしなくていいとかそういう話ではなく、成果を出すための行動と同じくらい、相手の期待値が高くなりすぎないようにコントロールする技術も必要、ということなんです。

 私も若手の頃、この期待値コントロールが苦手だったからこそ、この重要性を痛感しています。

 以前は、課長や部長など、自分の上司は万能の存在だと思っていたんです。

 どの仕事がどれだけ難しいのか、今、どのメンバーがどの程度の仕事を抱えているのか、全部把握していると思っていた。

 でも、上司も忙しいので、案外、部下の仕事を理解できてないんだな、と途中で気がついたんですよね。

 状況がまるっきり変わっているのに、「前年担当していた〇〇さんはできていたから」と細かいデータを見もせず、期待値をぐんと上げてくることがある。

――ああ、本当によくありますね……。そんなとき、どう対処すればいいでしょうか。

サラタメ:だから、私は期待値コントロールをするために、今の仕事は難易度Sクラスですよ、結構大変なことに取り組んでいますよ、時間がかかりそうですよ、といったことを、こまめに根回しするようにしています。

 仕事の安定感で悩む人も多いと思いますが、自分の実力そのものを変えるには結構時間がかかるもの。

 今すぐできる対策としては、「安定感があるように見せるために、周囲の期待値コントロールをこまめにする」のがいいと思います。

(本原稿は、話題沸騰のサラタメ著『真の「安定」を手に入れる シン・サラリーマン──名著300冊から導き出した人生100年時代の攻略法』の内容をもとに、新たに著者がインタビューを受けたものです)