社内で派閥争いがあり、そこで勝ち抜くために功を急いだゆえの失敗だったとドラマの中では描かれており、これがまあ非常にリアルだ。その焦りが伝わってくるため、山本耕史演じる「石洋ハウス」の担当者・青柳に同情してしまうところがある。詐欺師とは、人のこういう焦りや弱みに漬け込むのだと思わずにいられない。
なお、積水ハウス事件では地面師グループ10人が詐欺罪などで有罪判決を受けており、主犯格は懲役11年で服役中である。
詐欺師は人の
「信じたい」気持ちを利用する
地面師による事件はその後もたびたび報道されており、2021年1月には、東京都・渋谷区の土地所有者になりすまし、6億5000万円を騙し取った男2人が逮捕されているし、2022年5月には中野区の土地所有者になりすまして7000万円を搾取した男ら4人が逮捕されている。
それぞれ別の地面師グループで、他にも余罪があり、複数回逮捕されている。立件されてはいるものの明るみに出ていない事件があるのでは、と誰もが思うところであろう。
ドラマの中では悲しい過去を持つ地面師の辻本は、綾野剛が演じるだけあって隙がないし、リーダー格のハリソン山中(豊川悦司)は猟奇的な一面を持ち仲間をも欺く一面を持ちながら、目が離せない魅力がある。
それ以外のメンバーも、小池栄子、ピエール瀧、北村一輝といった名バイプレイヤーが演じるだけあって、格好よく見えてしまう。地面師という犯罪者集団がこんなに魅力的な悪として描かれてしまって良いのだろうかと戸惑う一面もある。