7月にNetflixで配信が始まってから話題を呼んでいるドラマ『地面師たち』。俳優たちの名演や脚本の妙はさることながら、実際に起きた事件をドラマにしているとあって「地面師」に興味を惹かれる人も多いようだ。他人になりすまして巨額を騙し取る「地面師」の手口とは、一体どのようなものなのか。(フリーライター 鎌田和歌)
悪人なのに人を虜にしてしまう
「地面師」はネトフリだけじゃない
実際にあった詐欺事件をモデルにした作品といえば『キャッチ・ミー・イフ・ユーキャン』や、『ウルフ・オブ・ウォールストリート』が有名だ。
人を欺き、金を騙し取るのだから悪人なのだが、これらの作品に登場する詐欺師たちは見る人を惹きつけるものがある。それは彼らが知能犯であり、犯行が大胆かつ緻密で見るものを唸らせる体。
先月末にNetflixで配信され、SNSなどで絶賛コメントも多いのが『地面師たち』。2018年に発覚した「積水ハウス地面師詐欺事件」をモデルにしている。
当時、連日のように紙面やネットニュースに「地面師」の文字が踊ったのは記憶に新しい。
人々が驚いたのは、積水ハウスのような大企業が55億円もの巨額をあっさりと騙し取られてしまったからだ。改めてどんな事件だったのかを簡単に振り返ってみたい。
地面師とは、土地の持ち主やその代理人になりすまし、土地を売却するふりをしてその代金を騙し取る人々のことだ。「地面師」というと、響きとして渋く字面も目を引くため、犯罪者ならばもう少し格好悪い名称にした方が良いのではないかと思わなくもない。