それは、停滞気味の国内自動車市場の中にあってもシェアが高まっているSUVセグメントを攻略するためだ。セグメント別で見ると、23年のSUVの乗用車構成比は24%で、10年前の6%から大きく上昇している。そのうち、コンパクトSUVが42%も占めており、このジャンルが最大の売れ筋となっているのだ。

 スズキは、軽自動車だけでなくコンパクト乗用車の強化・国内シェア拡大を図る狙いがあることから、新型フロンクスへの期待が大きいというわけだ。

 筆者は、7月に静岡・伊豆山中で行われたフロンクスのプロトタイプ先行試乗会に参加し、試乗してきた。外観は「流麗なクーペスタイルに、迫力あるフロントマスクや先進的な灯火類が採用され、個性的で存在感のあるスタイリング」(スズキのHPでの表現)。1.5Lガソリンエンジンにマイルドハイブリッドを搭載した、2WD、4WDの2モデルが日本仕様として用意されている。コンパクトなBセグメントSUVとしてハンドリング、静粛性、乗り心地は十分な満足感を得た。

 インド製ということで注目されているのが、フロンクスの日本投入に先立ち、ホンダが3月にインド生産車の「WR-V」を日本で発売し、好評を博したことだ。