自分の名前を名乗るのが面倒で、会社名だけを名乗っているという人はいますか?ここまでお読みになったあなたは、それもだいぶ危険な状態とわかりますよね。

 また逆に、相手から自分の氏名ではなく、「○○社(会社名)さん」「○○(業務名)さん」と呼ばれることもあります。

 その場合、相手はあなたのことを確かに「会社や業務を代表する人間」と捉えているので、名誉なことという考え方もあります。ただ、個人としてのあなたをまったく記憶していないか、個人に興味がない可能性もあります。「あなた」個人と付き合っているのではなく、「会社」や「業務」のみと付き合っているのです。

 こんな自失状態からは今すぐ脱却し、会社ブランドとは別に、「自分ブランド」を確立しましょう。

 現在勤めている企業、職業や役職、経験値、年齢などは関係なく、どんな人でも自分自身をブランド化できます。あなたもブランドになれるのです。

会社と付き合っているのか
私と付き合っているのか

 私が前職の会社を退職するとき、こんなことがありました。

 長年の取引先に「会社を退職して独立します」と伝えたところ、反応が大きく2つに分かれたのです。

 ひとつは「退職されるのですか。それは残念です。ところで、後任の方はどなたでしょう?」という反応。もうひとつは「退職されるのですか。守山さん、今後は何をされるのですか。SNSで直接つながってもいいですか?」という反応でした。

 前者は、私の「勤め先」と取引していると捉えていらしたようで、後者は担当者である「私個人」に興味を持っていただいたようです。

 どちらの反応も面白いので、私は取引先の皆さんを興味深く観察しました。仕事の関係が濃く、個人的にも仲がよいお取引先と思っていた人が、実は「会社と付き合っていた」とわかったときは、苦笑するばかり。

 逆に在職中、さほど関係が深いとも思えなかったのに「個人的につながりたい」と言ってくださる人もいて、本当に嬉しく、長いお付き合いをしたいと思いました。

 これが、16年間会社員をやった私が、「会社ブランド」と「自分ブランド」を分離して考えることができた最初の出来事でした。