「この人と一緒にいたい」と
思われる人になろう

 例えば弁護士だったら「法律の知識があり、状況に応じてその知識を提供できる」こと。医師であれば、「病気を診断できる医療的知識があり、手術や薬の処方などの医療的技術、能力がある」ことを指します。営業や販売の仕事に従事する人であれば、「商品を理解し、提案して、お客様と販売契約を結ぶ」といった一連の業務ができることですし、トレーナーやインストラクターであれば「特定の技能をお客様に教え、それができるように指導する」ことです。これらの機能的価値は、すべてAIやロボットで代替できると言えます。

 一方、情緒的価値とは、商品やサービスを使ったときに、人の感情に訴えかけてくる価値のこと。すなわち、価値観や考え方、時間の使い方、人との付き合い方など、人柄に関わる部分です。

 人が持つ豊かな人間性や、感情、想像力、そして未来を描く力などが「この人と一緒にいたい」という感情をもたらします。

 情緒的価値は、唯一無二の自分らしさを作るものであり、AIやロボットでは決して代替することができません。

 優しさや愛情、楽しさ、温かさ、安心感、面白さなどを、愛しく感じられるのは、そこに人の心を揺さぶる、人間ならではの情緒的価値があるからなのです。

イラストIllust:(C)守山菜穂子 拡大画像表示

 AI時代を生き抜くために私たちに必要なのは、どうしたら自分の情緒的価値を高めることができるか、徹底的に考えることです。それは結果的に、自分のビジネスにおける価値を高めることにも直結します。

 さらに、自分の情緒的価値を周囲に伝える努力も必要です。それは同レベルのスキルの人がひしめく集団で、自分が「群衆その1」から抜け出すきっかけにもなります。

 未来を怖がっている場合ではありません。

 今からでも、やれることがあるのです。