「長所を探す力」は
筋肉でありスキル

 ネガティブ・バイアスと根本的な帰属の誤りのせいで、ジョナサンの最初の直感が2度目のデートを断るよう告げたことは当然です。けれども長期的なパートナーを望むのであれば、これらの本能的な衝動を抑え、相手の長所を探さなければなりません。そうでなければ、すばらしい恋人候補を誤って逃してしまいます。そして2度目のデートがなければ、結婚という夢をかなえることもできないでしょう。

 長所を探す力は筋肉のようなもので、身につけられるスキルです。そのために練習をしましょう。

 心理学者、ショーン・エイカーの研究によると、その日に感謝することを3つ書くだけの感謝日記を3週間書き続けると、脳が世界を認知する方法が変わり始めるそうです。感謝日記を書くことで、たとえば、発車直前のバスに間に合うことがどれだけラッキーか、同僚と笑い合えることがどれだけ楽しいかなど、これまでは見逃してきたものごとに気づくようになるのです。

 恋愛でも同じことができます。よい面を見るよう自分を訓練しましょう。他の人なら見過ごすであろう相手の一面を探してください。哲学者で作家のアラン・ド・ボトンは私にこう言いました――相手のよくない一面に注目するのではなく、「望ましい面、よい部分を探すためにイマジネーションを駆使」すること。

 かつて、グラントというひどくネガティブ思考な男性のコーチングをしたことがあります。

 彼の言うことはすべて、「ああ、でも……」で始まっていました。いつも胸の前で腕組みをする姿勢で人生に臨んでおり、いい知らせにさえ反論するようなタイプでした。当然ながら、彼からのデート後の報告メッセージは、映画『ミーン・ガールズ』に出てくる「悪口ノート」のコンパクト版のようでした――「身長が低すぎ、笑わない、くだらない仕事、カナダに帰りたいのかも、“concomitant”の発音を間違えた」。