「想像力をはたらかせる術」は
自分と相手のためになる

 その次のセッションで私は彼と席につくと、「グラント、あなた自身は欠点や悪癖の寄せ集めではないでしょ?あなたは短所だけではない。よいところも悪いところも含めてあなたという人間ができている。ほかの人には、あなたの改善すべきところだけじゃなく、あなたの全人格を見て評価してほしいと思わない?自分が評価されたくない方法でほかの人を評価しないで」

 そして、デートのあとで相手の欠点を並べたてるのを禁止しました。自分の中で考えるのもだめ。その代わりに、デート相手の長所を5つ、私に報告するよう言いました。グラントは、アラン・ド・ボトンが言ったように、「イマジネーションを駆使」し、相手の奥深くを見なければならなくなりました。

 最初のうち、グラントはこの宿題に苦労しました。彼からの報告には、「遅刻しなかった」「言葉の間違いがなかった」などと書かれていました。けれども練習を重ねるうちに徐々にうまくなってきました。以下は、彼が私に送ってくれたリストです。

書影『史上最も恋愛が難しい時代に 理想のパートナーと出会う方法』(河出書房新社)『史上最も恋愛が難しい時代に 理想のパートナーと出会う方法』(河出書房新社)
ローガン・ウリー著、寺田早紀訳

1.親切である。レストランの店員への態度が気に入った。
2.思いやりがある。ぼくの職場の大切な会議について尋ねてくれた。
3.家族思いだ。本当に興味深そうに、ぼくの祖母の話を聞いてくれた。
4.非常に頭がいい。
5.すごくキスがうまい!

 グラントはまだ運命の人にめぐり会っていませんが、最近では2度目のデートに出かける頻度がぐんと増えました。想像力をはたらかせる術を身につけたことで、恋人候補を吟味し、理解し、正しく評価できるようになったのです。